ファンタジー

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オンラインカウンセリングのカナムーンです。

こどもの頃、花がいっぱい咲く野山で無邪気に遊びまわっていたことを思い出します。何が面白いのかわからないけれど、とにかく楽しくて、ゲラゲラ笑いながら、時を過ごすだけ。仲良くなった男の子と「また遊ぼうね」「ずっと一緒にいようね」な~んて言いながら、写真のようにお花を手渡されたりなんかして、ちょっとした小さな恋のメロディが流れたり・・・。妄想に近い懐かしい記憶です。

私たちは大人になってしまうと、こどもの頃のことを忘れてしまうことが多いような気がします。常識や固定観念に縛られて、直感ではなく理性で物事を判断するようになってしまいます。そしてその価値基準によって、こどもを評価してしまったりします。でもね、こどもは大人の価値基準では測れないのだと思います。こどもは自由で自然な生き物ですから。

「七つまでは神のうち」という言葉があります。産まれてから7才までは病で亡くなることが多かった時代に、預かっていたこどもを神さまにお返しするという意味で使われていた言葉です。言い換えれば、7才までは神に近い存在なのかもしれません。

10才ぐらいになると、ファンタジー(空想)の世界に浸るようになります。現実世界と異界を行ったり来たりしながら、世界にたった一人の自分を実感していくのです。行ったり来たりする方法は人それぞれですが、私も10才頃に夢遊病(睡眠時遊行症)のような症状がありました。本当に外を出歩いていたかどうかはわかりませんが、睡眠時に家の近くの坂道を歩いている感覚がありました。夢か現(ウツツ)かわからない状態が続きましたが、発達とともに消失していきました。思い返すと、私もいろいろあったのだなあと感慨深くなります。

この10才という前思春期の年齢について、山中康裕さんは「人間が到達しうる哲学的、宗教的、実存的などという心の根源的世界の最高点に通底してしまう時期」だとおっしゃっています。『千と千尋の神隠し』の主人公の千尋も10才でしたし、児童文学で描かれる主人公も10才前後のこどもであることが多かったりします。透徹したこどもの目から人生を見たらどのように映るのかをファンタジーを通して描くことに意味があるのかもしれません。

大人になったら、ファンタジーの世界に身を投じる余裕がないほど、現実の生活に振り回されている人が多いような気がします(私も含めて)。でも、想像の翼を広げて空想することって実は楽しかったりします。「こんなふうに、あんなふうになればいいなあ~」と思いながら、人生を楽しんでいる大人って輝いて見えたりして。そんな大人が増えれば、こどもたちは「あんな大人になりたいな~」とか「大人になることは楽しみだな~」と思えるかもしれません。だから、私はこれまでの生き方を少し見直して、“夢見る空想ばあさん”として、無邪気に人生を楽しみたいと思っている今日この頃です。

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