頭の中のカミ

頭の中のカミ

オンラインカウンセリングのカナムーンです。

最近、小学生や中学生とのカウンセリングの機会が増えてきました。「精神科クリニックに問合せをしたら、高校生以上しか診察していないと断られたので」という理由で、お引き受けしたケースもあります。小・中学生には使えないお薬が多いですし、また、思春期はお薬が効きにくいという事情もあります。さらに、小学生は心が感じていることを言語化しにくい傾向がありますから、精神科医は診察が難しいのかもしれませんね。

以前のブログで、中学2年生の女の子が『鬼滅の刃』がとても好きで、「先生は鬼殺隊では誰が好きですか?」と聞かれ、頭がチンプンカンプンになったというお話を紹介したことがありました。「キサツタイ」という言葉をその時に初めて聞いたので、私の頭の中の辞書がまったく反応しなかったのですね。

今回は、小学5年生の女の子とのカウンセリングの中で、同じようなことがありました。彼女はとてもよくお喋りをするお子さんで、50分のセッションの中で9割方は彼女が学校でのできごとをお話ししてくれます。そのお話を「うん、うん」と聴きながら、少し感想を述べるのが私の役割になっています。まあ、聴いているだけです。

ある日、彼女が「先生のアドバイスはカミなんさな」とぽつりと言いました。私は何のことだかわからず、頭の中には「加味」という漢字が浮かびました。「私、何か味付けしたかな?」と咄嗟に思ったのですが、そんなことはあろうはずがないので、「ごめんな、カミって何?」と質問しました。

そうすると、彼女は「先生、カミも知らんの?神さまの神やんか」と教えてくれました。私は「あ~、そうなん。神さまの神なん。教えてくれてありがとう」とお礼を言って、「カミ」が「加味」ではなく「神」であることがわかり、スッキリしました。「うん、うん」と聴きながら少し感想を述べるだけで、「神」と言ってもらえるなんて、何てありがたいことだと思いました。

一方で、「神」という言葉は、私の頭の中の辞書にあるのに、彼女の言葉の運用がわからないなんて、私の頭も硬くなってきたなあと少しショックでした。小学生や中学生とお話ししていると、新しい言葉や運用を知ることができます。彼女たちは私の頭の柔軟剤のような存在だなあと、改めて感謝したある日のカウンセリングでした。

with k 4E #403