緊急支援

緊急支援

オンラインカウンセリングのカナムーンです。

この写真は、ある市の不適切保育でニュースになった園の敷地内にある慈母観音立像です。どうしてこのような写真を撮影できたかというと、誰でもお参りができるお寺だということと、不適切保育で私が会長を務めている三重県公認心理師会が緊急支援に入ったからです。

当会が緊急支援に入ったことは報道でも出ていますので、このブログでもその点はお伝えしてもいいかと思いますが、詳細については控えておきます。今回は、一般的な緊急支援について少しお話ししたいと思います。

緊急支援とは、危機介入にあたります。危機とは、習慣的に身につけている防衛機制や対処方法が全てうまくいかない、困難で不均衡な状態のことをいうのですが、危機介入はこの状態をできるだけ早く元の状態に回復させるために行うものです。災害支援等について学んでいる人は、サイコロジカル・ファーストエイド(PFA)という心理的応急措置を思い浮かべてもらえるとわかりやすいかもしれません。

心理専門職は、事件・事故・災害の際の緊急支援を要請されることが多く、私も犯罪被害や地震等の緊急支援に数多く携わってきました。今回の不適切保育の危機介入も、この緊急支援にあたります。

私が緊急支援に入るときに大切にしていることは、リンデマンらの「危機を転換点として捉えれば、危機には成長を促進させる可能性(growth-promoting potential)が内在している」という考え方です。危機に陥っている個人や組織は、それに関与している全体としての傷つきを抱えています。そこに介入するのは非常に困難なことが多いのですが、その危機を乗り越えた先に待つものは、“成長”であると思っています。

その“成長”を願いながら、危機介入を行います。PFAのガイドラインを参考に説明すると、適切な心理社会的な支援があれば自然回復することを念頭に置きながら、「活動前の準備」と「見る・聞く・つなぐ(Look、Listen、Linkの3L)」を実践します。そして、現地や現場の文化にあった行動をとり、被支援者の利益を最優先とします。また、支援団体間での衝突は被支援者の不利益となるため、連携や調和に努めるのです。

このような考え方のもと、不適切保育の緊急支援を行いました。この写真の慈母観音のように、被害にあったこどもたちを救えただろうかと少し心配しながらも、3か月に及ぶ緊急支援を終えてホッとしているところです。

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