PERFECT DAYS

PERFECT DAYS

オンラインカウンセリングのカナムーンです。

役所広司さんが主演している『PERFECT DAYS』を観てきました。もうすぐ映画館での上映が終了のようですので、急いで観てきたのですが、映画館は閑散としていました。カンヌ映画祭で主演男優賞を獲った作品なのに、残念だなあと思っていると、上映が始まりました。

映画の印象は、とても静かな淡々とした映画でした。私たちの当たり前の日常は、繰り返し繰り返し過ぎていくのですが、日々何かしらの少しの変化が起きています。その日常が毎日同じことの繰り返しであったとしても、必ず変化をするのです。変化しないものなんてこの世にはありません。そして、夜明けとともに新しい一日が始まるのですね。それが宇宙の真理です。それが『PERFECT DAYS』なのだというメッセージだったような気がしています。

劇中に流れるルー・リードの「Perfect day」という曲が、何ともこの映画にぴったりです。歌詞をご紹介しますね。

Just a perfect day(完璧な日よ)Drink Sangria in the park(公園でサングリアを飲んで)And then later, when it gets dark We go home(暗くなったら家に帰る)
Just a perfect day(完璧な日よ)Feed animals in the zoo(動物園で餌やりをして)Then later, a movie too And then home(映画を観て家に帰る)
Oh, it’s such a perfect day(なんて完璧な日よ)I’m glad I spent it with you(君と一緒に過ごせるなんて)Oh, such a perfect day(なんて完璧な日よ)You just keep me hanging on(君が僕をつなぎ止めてくれる)

劇中では、主人公の好きな歌や本が登場します。カセットテープで聴く1970年代の歌や、古本屋で購入する本は、懐かしさを喚起させるものばかりでした。主人公が好きなものに囲まれて暮らし、食べるもの、飲むもの、着るものはいつも決まっています。一方で、日々変化する太陽の光と影、木漏れ日、そして木の根元から顔を出す新芽を愛し、それを愛おしそうに見つめる主人公の眼差しは、人間の生きることや愛することの本質を教えてくれているようでした。

早速、劇中で主人公が読んでいた「野生の棕櫚」(ウィリアム・フォークナー著)を購入しました。“野生”という言葉に目が留まったからです。だいぶ前のブログで、河合隼雄さんが話していた“中年期の野生”について考察してみたいと書いたことがあるのですが、あ~そのまま手つかずになっているなあと、映画を観て思ったからです。

先延ばしにしていることがたくさんあります。私の日常は毎日が変化のオンパレードなのですが、中年期に入り、その変化のスピードについていけないと感じることが多くなってきています。衰えを感じながらも、先延ばしにしていること一つひとつを実現していきたいと思っています。“中年期の野生”についての考察も......。

こんなことを書いていたら、役所広司さんが日本アカデミー賞の最優秀主演男優賞を受賞されました。『PERFECT DAYS』の上映期間が延びるといいなあと思います。もし、お時間がありましたら、是非、映画館に足をお運びくださいませ。

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