春画先生

春画先生

オンラインカウンセリングのカナムーンです。

『春画先生』という映画を観てきました。映倫のR-15指定の大人っぽい映画です。思春期や青春といった言葉の“春”は、性やセックスを意味しますので、春画は人間の性的な交わりを描いた画のことを指します。ですので、今回はR-15の映画となっているようです。

私はカウンセラーですから、相談の内容は多岐にわたります。「死にたい」という生死に関わるような相談もあれば、カップルの性愛や性癖の相談もあります。一対一の相談もあれば、夫婦や家族が揃ってカウンセリングを行う、カップル・カウンセリングや家族カウンセリングを行うこともあるのです。

カウンセラーは人間のこころを扱う職業ですから、人間に関わるすべてについて相談を受けます。だからこそ、制限を設けずに、さまざまなジャンルの芸術に触れることが必要になります。そこで、今回は『春画先生』を観に行きました。とても面白かったです。

春画は、肉筆や木版画で描かれ、平安時代からすでに始まっていた芸術です。喜多川歌麿や葛飾北斎など著名な浮世絵師のほとんどが春画を手がけています。江戸時代では“笑い絵”と言われ、単に好色な男性のためのものではなく、身分を問わず、多くの老若男女が娯楽として愛好していました。それが、明治時代に禁欲的なキリスト教文化の流入によって、この芸術自体が衰退していったのですね。

日本は、イザナギとイザナミという男女の交わりによって国が生まれたという神話を持つ国です。また、『源氏物語』のような男女の恋愛を描いた小説を古文という授業で習う国でもあります。江戸時代までの日本は、性愛をおおらかに捉える文化があったのではないかと思っています。

今の日本人は、性やセックスをタブーとして考えている側面が強いような印象がありますが、私たちはみな男女の交わりから生まれてきています。実は、性というものは“生まれること”であり、“生きること”なのですね。

『50歳からの性教育』(河出書房)の著者である性教育研究者の村瀬幸浩さんは、「性のベースとなるのは人権。その人が人間らしく生きていく権利だと互いに認識すること。相手が望まないことはしない。自分が望まないことはする必要がない。そのうえで、“生殖の性”だけでなく、“快楽共生(ふれあうことの心地よさや幸福感をわかちあう)の性”を、性教育として教える必要がある」と述べています。

その通りだと思います。私たちは性愛を窮屈なものとして考えすぎているのではないかと思うのです。自分も相手も大切にしながら、その心地よさや幸福感をわかちあう性愛を、もう少しおおらかに捉えてみてもいいのではないかと、『春画先生』を観て感じました。

いくつになっても人間は恋をします。もちろん、認知症になられた方も恋をします。思春期の若者も、高齢者も、すべての人間に性愛というテーマがあるのです。人間が生きること、死ぬことすべてに性愛が関与することを、今一度考えてみたいと改めて思いました。

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