クライエントの話

クライエントの話

オンラインカウンセリングのカナムーンです。

先日、三重いのちの電話で研修を行いました。私は、三重いのちの電話でスーパーバイザーをしていますので、年に数回研修を行っています。参加されている方はみなさんボランティアで電話を受けることを志願している、本当に志の高い人たちばかりです。頭が下がります。

今回は、福山清蔵著『独習 入門カウンセリング・ワークブック』に収録されているワーク3「クライエントの話」をもとにワークを行いました。興味のある方は、現在は改訂版が出版されているようですので、是非お買い求めください(笑)。

どうしてこの「クライエントの話」というテーマを選んだのかというと、クライエントの話をどう聞くのかによって、クライエントの問題の扱い方が変わってくるからです。私たちの話の中には、3つの要素があります。それは、事実(出来事)、感情、計画(願望、予測)の3つの要素です。

事実は、「~ということがありました。その時の状況は・・・でした」
感情は、「~ということがありました。それで・・・と感じました」
計画は、「~ということがありました。それで・・・したいのです」
と表現されるのですが、どの要素に焦点を当てるかが大切になってきます。

私たちは相談を受けると、その困りごとの問題解決を目指すことが多いので、事実(出来事)の分析をして、計画(願望、予測)の変更を提案することに焦点を当てて話を聞きます。そうすると、事情聴取のような聞き方になり、一通りの分析が終わると、「それならばこうしてみたらどうですか?」とすぐに結論を導き出します。

これは間違いではありませんが、このような聞き方だと感情が置き去りにされてしまいます。何かの出来事を体験して、そこに落胆や失望などの何らかの感情が伴うからこそ、人は苦しむものなのですね。例えば、子どもが不登校になった母親は、そこに困惑、焦燥、不安などの感情を抱きます。だからこそ、今後どうしようかと心配になり、カウンセリングを受けにいらっしゃるのです。

ですから、カウンセリングではクライエントの感情面を取り扱うことを主なねらいとします。そして、さまざまな感情を抱いたのにはそれなりの理由があることを、聞き取っていきます。その理由が事実や計画に当たるのですね。順番が違うだけなのですが、人は感情を抱くことによって、自らの心と向き合うものなのです。私たちカウンセラーは心と向き合う心理専門職ですから、感情をとても大切にします。このようなことをお話しした三重いのちの電話の研修の一コマでした。

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