性暴力対応支援

性暴力対応支援

オンラインカウンセリングのカナムーンです。

昨年度、三重県が『学校における児童生徒間の性暴力対応支援ハンドブック』(以下、「ハンドブック」)を作成して、県内すべての小学校・中学校・高等学校・特別支援学校の教職員に配布しました。現在は、性被害防止にかかる出前講座やハンドブック活用研修として、依頼先へ出かけて行き研修を行っていますが、その講師を務めることが多いのが私となっています。

8月13日現在ですでに11本の研修を終えていて、これから3本の研修を予定しています。また、これに関連するテーマで兵庫県の勉強会にも呼ばれていますので、今年度は性暴力の研修をお引き受けすることが多くなっています。このテーマ以外でも、犯罪被害者支援、特別な支援が必要な子どもへの支援、子どもの発達、児童虐待、子育て支援、自殺対策、ハラスメント研修、メンタルヘルス研修、人間関係基礎研修、自己尊重講座など、今年度は研修依頼がバラエティに富んでいます。

さて、学校における児童生徒間の性暴力対応支援に話を戻しましょう。

先日の研修会では、架空事例の検討を行いました。みなさんもご一緒にこの事例を考えてみてください。

小学校5年生の男児の様子がおかしいので、担任が「何かあったの?」と聞いたら、「Dくんから休み時間にズボンを下げられた。クラスのみんなも見ていたので、意気地なしと言われるのが嫌で我慢していた」と泣きながら話しました。

さて、みなさんが学校の先生ならどのように対応しますか?

この架空事例を検討する前に、ハンドブックに基づいて性暴力の説明をしていました。性暴力とは、性を手段にした暴力のことで、本人の意に反した性的な言動はすべて性暴力になります。例えば、同意のない性交等を行う、同意なくプライベートゾーンなどの身体を触る、スカートをめくる、ズボンを下げる、下着を下げるなど、その言動は数多くあります。

ズボンを下げるという子ども同士の行為は珍しいことではありませんので、先生も「それぐらいのことで」と軽く受け流してしまうことがありますが、これは性的いじめ、つまり性暴力です。これによって自死した少年も少なくありませんし、対象が女子であればわいせつ事件となるように、男子にとってもれっきとしたわいせつ行為です。

「ズボンを下げるという行為が性暴力だと認識すると、対応がまったく変わってきますね」と参加されていた先生がおっしゃっていました。意識が変われば行動が変わります。性暴力は被害者の尊厳を踏みにじる行為であり、心身に長期にわたり深刻な影響を及ぼしますので、少しでも三重県内の教職員のみなさんの性暴力についての意識が変わるように、研修を続けていきたいと考えています。

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