手紙

手紙

オンラインカウンセリングのカナムーンです。

自死のブログを書いていたからか、探し物をしていたらある手紙が出てきました。平成20年8月8日の消印なので、今から15年ほど前に届いた手紙です。

差出人は、中学校からの同級生だった男性の親友です。異性間の親友関係は成立しないという声もありますが、彼とは性別を超えた親友関係でした。中学時代の授業中に一緒に歌を歌ったり、文化祭で行う演劇では彼は監督、私は裏方という役割分担をしたり、悩みごとを相談したりと、本当に仲がよかったのです。

「30歳になっても独身だったら結婚しようなあ」と冗談で言い合っていた彼は、大学を卒業してすぐに可愛い奥さんを見つけて結婚しました。そして数年後離婚し、上京してきた彼に、すでに音楽業界で働いていた私は、音楽雑誌の編集者の仕事を紹介しました。それから彼は編集長になり、有名なアーティストの海外ライブに同行するようになりました。

その頃に私宛に送ってくれた手紙が出てきたのです。内容はこうでした。

「最近思うことがあります。結婚とは『恋をして愛してひとつになる』形ですが、本当の幸せは結婚してから。自分の『仲間』を作ることなんじゃないかなと思います。ほんとの仲間。信頼できる人との間に核を作り上げ、深めていく。それが家族なんだろうな、って。家族がいろいろつながってコミューンになり、地域になり国になっていけば、世界はもっとHAPPYになる。まるでジョン・レノンですね」「あと20年で60歳です。あと20年かもしれないけど、まだ20年あります。もう一回、青春しようと思っています。60歳になった僕は、どんな人と共に、どんな顔をしてるんでしょうか。そして60歳になった律子はどんな表情を浮かべているんでしょうか」

この手紙が届いてから4年後、ハワイのホテルのベランダから落ちて、彼は亡くなりました。44歳でした。事故なのか自死なのかはわかりません。ハワイの心地よい風を感じながらベランダでお酒を飲んでいた直後の出来事だったようです。きっと彼には綺麗なものがベランダの外に見えたのだろうと思います。

そして、私は55歳になりました。あと5年で60歳です。60歳になった私が笑顔でいられるように、もう一回青春しようと思います。彼が到達できなかった60歳に、私が代わりに到達して、まだ叶っていない彼を弔うハワイの巡礼の旅に出かけようと思っています。

何だか、「律子、俺のこと忘れてない?」と確認されたような気がしました。だから、手紙として現れたのかもしれません。「忘れてないよ、大丈夫」ryuchellさんの死に触発されたのかもしれませんね。

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