へその緒

へその緒

オンラインカウンセリングのカナムーンです。

あなたの体の中心はどこにありますか?と2つ前のブログでみなさんにお聞きしました。そして、私の中心はみぞおちの下あたりにあると書いたような気がします。

レオナルド・ダ・ヴィンチは1485~1490年頃に、人体の中心はへそであることを、ウィトルウィウス的人体図に示しました。この人体図は、古代ローマ時代の建築家ウィトルウィウスの『建築について』の記述をもとに描かれたデッサンです。ウィトルウィウス的人体図という言葉でネット検索すると、どこかで一度見たことがあるデッサンを目にすることができますよ。

へそというのは、人間にとって大切な場所です。なぜなら、私たちが母親のお腹にいた時に、胎盤を通して母親から酸素や栄養分を受け取り、老廃物を母体側に渡すのが、胎児と胎盤をつなぐ臍帯(へその緒)だからです。へそを通して母親とつながっていたのですね。そしてへそを通じて、いのちを維持するための活動を行っていたのです。母親とのエネルギー交換と言っても過言ではないのかもしれません。

日本では、このへその緒を記念に保存しておく風習があります。私が息子を出産した際にも、ケースに大切に入れられたへその緒を受け取りました。出産後、3か月ほど実家にいた時には、そのケースは引き出しに保管していたのですが、いつの間にかそれが見当たらなくなっていました。その後、最近まで見つからないまま時が過ぎていました。

この1月に父が亡くなり、実家を譲り受けたいと親戚からお願いされましたので、実家の遺品を業者に運び出してもらい、最後の立ち会いの時に、ふと神棚を見ると、何かが残っていました。神棚に置いてあったものですから、これは持ち帰ったほうがいいなあと手を伸ばすと、ホコリまるけになったへその緒のケースが手のひらに……。こんなところに置いてあったんだあと感慨深くなりました。そして、これは父からの最後の贈り物だなあと思いました。「お父さん、ありがとう」と心の中でつぶやきました。

大事なわが子のへその緒がどこへ行ったかわからない母親なんている~?と、少なからず罪悪感を抱えながら今まで生きてきましたから、ふっとその罪悪感から解放されたような軽い気持ちになりました。両親から受け継いだ私の過去が詰まった実家を手放すのは寂しい限りではあるのですが、親戚がおおよその外観を残したまま、住み続けてくれるのはありがたいことだと思っています。

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