ミートパイ

ミートパイ

オンラインカウンセリングのカナムーンです。

みなさんはピーターラビットをご存知でしょうか。ビアトリクス・ポターの児童書に登場する主役キャラクターで、このシリーズの作品の総称にもなっています。1893年9月4日に作者のビアトリクスが元家庭教師の息子ノエル・ムーアの療養を見舞うために書いた絵手紙が原点なので、ピーターラビットの誕生日は9月4日のようですよ。

現在、絵本シリーズの出版120周年を記念した展覧会が開催されているので、あべのハルカス美術館に約170点の絵手紙や原画を見に行ってきました。せっかく本物を見ることができるいい機会ですから、足を運ばない手はありません。

展覧会ではピーターラビットのさまざまなエピソードを交えながら絵手紙や原画が展示されているのですが、この日最も衝撃を受けたのは、キャラクター紹介のところで「ピーターのおとうさん(マグレガーさんにパイにされた)」とあり、ミートパイの絵が描かれていたことでした。目が点になりました。マジでっ?!

この設定は、第1作『ピーターラビットのおはなし』の冒頭に、母親がピーターたち子うさぎに注意を与える場面に登場します。「お百姓さんのマグレガーさんとこの畑だけは行っちゃいけませんよ。お前たちのお父さんは、あそこで事故に遭って、マグレガーさんの奥さんに肉のパイにされてしまったんです」

ピーターラビットはかわいいだけの児童書ではなく、おどろおどろしい怖いエピソードがちりばめられているようですよ。そういえば、グリム童話やイソップ童話などの子ども向けのお話には、ハッピーエンドで終わらない物語も数多くありますね。子どもに夢を与えるだけでなく、現実をありのままに見せる児童文学は珍しくありません。

ちなみにおとうさんのようなミートパイは、英国の伝統料理です。首を切り落とし、骨や内臓を取り出したうさぎをリンゴ酒で煮込み、パイに仕立てる料理で、鶏肉に近い淡泊な味が特徴だとか。そういえば、うさぎは自分の子どもを食べてしまうこともあります。母うさぎが自分の体が弱っていると感じたときや、エサの不足などから育児不可能と判断したときに食べてしまうそうですよ。

動物はみんな生き延びるために、からだに栄養を取り込む必要があります。それが現実であり、食物連鎖によってつながるこの生態系の仕組みなのだと思います。このような地球の循環システムをおとうさんのミートパイから教えてもらったような気がしています。もしかしたら、これが生きるということの本質なのかもしれませんね。

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