希望の灯火

希望の灯火

オンラインカウンセリングのカナムーンです。

昨日は9月1日、学校の新学期が始まる日でした。9月1日と言えば、夏休み明けに子どもの自殺が突出して多いと報告されている日です。病気で亡くなった樹木希林さんが病室で窓の外を眺めながら「死なないで、ね...どうか、生きてください」と絞り出すように呟いていた日でもあります。

奇しくも私は昨日の9月1日に、ある自治体の人権関係職員さん向けに「自殺問題」についての人権講座の講師を務めました。その講座を終えた後、別の自治体の「いじめ事象調査委員会」に出席するために大急ぎで移動しました。まあ、重たい案件ばかりです。せめてもの救いは、いじめの被害児童生徒は生きていてくれているということです。

昨年度の日本の自殺者の数をご存知ですか?令和3年の自殺者数は21,007人でした。男女別に見ると、男性は12年連続の減少、女性は2年連続の増加となっています。また、先進国の中で日本の若年層の死因は自殺が最も多く、中高生の自殺が増えている要因としては、コロナ禍における心理的な孤立が影響しているとも言われています。

「自殺予防プライマリ・ヘルスケア従事者のための手引き(日本語版第2版)」で紹介されている統計の数字を見てみましょう。40秒ごとに1人が世界のどこかで自殺をしています。3秒ごとに1人が自殺を試みています。一人の自殺が少なくとも周囲の6人の人たちに深刻な影響を与えています。自殺が家族と地域に与える心理的、社会的、経済的影響は計り知れません。本当にそうです。

この数字を見るたびに、生きることはしんどいことなのだな~と改めて実感します。純粋な魂を持って生まれてきた私たちは、この地球上で暮らすうちにさまざまな困難に出会います。もちろん楽しいこともたくさんあるけれど、もしかしたらつらいことのほうが多いのかもしれませんね。

生まれてきた当初は、どんなことをしようかとウキウキワクワクしながら希望の灯火(ともしび)を増やしていきますが、困難に直面するたびに希望の灯火が一つずつ消されていくのかもしれません。以前、いじめられて自死を選んだ子どもの調査委員会で、その死までの過程を辿ったことがありますが、それは一つずつ灯火が消されていく過程でもありました。

「死なないで、ね...どうか、生きてください」樹木希林さんがそう願ったように、私もそう願わずにはいられません。どうか生きてほしいと思います。

with k 4E