エクスポージャー
エクスポージャー
オンラインカウンセリングのカナムーンです。
犯罪被害者支援をしていると、PTSDの治療をお願いしたいというご依頼があります。
現在、より有効性を証明されたPTSDの治療法は、認知行動療法、EMDR(眼球運動による脱感作再処理法)及びSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)を中心とした抗うつ薬と考えられています。この中でもPE療法(Prolonged Exposure Therapy : 長時間曝露法/持続エクスポージャー療法)は、エビデンスに基づいた治療の中核的技法として強く推奨されています。
このPE療法は、通常1回90分のセッションを10~12回、時には15回行います。週に1回か2回治療を行いますので、2~3か月で終了します。
この治療では主に2つのことを取り上げます。1つはその人が今感じている恐怖です。そしてもう1つは、その恐怖に対してうまく対応できていないという事実です。トラウマ体験の後に起きてきた困った症状が長引いているのは何故かを理解する必要があります。
多くの人は、トラウマを思い出させるようなものを避けます。避けることで短期的には落ち着いているように見えますが、実際にはその症状が長引き、トラウマによる問題を乗り越えることができません。
PE療法では、トラウマを乗り越えるために、トラウマに関連する思考や状況に向き合うことが目標となります。この向き合うことをエクスポージャーと呼んでいます。
それには2つのやり方があります。想像エクスポージャーと現実エクスポージャーです。
想像エクスポージャーは、頭の中でトラウマの体験に立ち戻り、体験したことを声に出して、話してもらいます。繰り返し、長時間(45分以内)かけて、トラウマ体験に向き合います。これらを録音して、繰り返し聞くことも求められます。
現実エクスポージャーは、トラウマ体験を受けた後に、恐くて避けるようになってしまった状況に現実の生活の中で向き合います。たとえば、車の運転とか、危なくない道を一人で歩くとか、ナイフをもって料理をするとか、入学式の頃に桜を見に行くとか・・・。
これらを心理教育や呼吸再調整法と共に行い、トラウマ記憶に慣れていきます。慣れることで不安が自然と軽減していくのです。これらを安全な環境の中で行うことで、こういった状況が恐くなくなっていくのです。
でも、トラウマ体験をした人は、この治療法を受けることを躊躇します。勇気のいることだと思います。ただ、トラウマの問題を乗り越えるためには必要なことなのかもしれませんね。
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