大切なもの

大切なもの

オンラインカウンセリングのカナムーンです。

久しぶりに手元に置いておきたい絵に出会いました。写真の絵です。タイトルは「大切なもの」、作家は西岡民雄さんです。ゆかいな仲間たちの一人のいとこに当たる人で、三重県で展示会があることを教えてくれましたので、早速行ってみました。素敵な絵でしょ。ギャラリーでこの絵の女性と目が合ったので、買うことにしたのです。

絵を購入すると、西岡さんの画集をいただくことができました。その中に、西岡さんが宮沢賢治の詩を再発見して嬉しくなったという記述がありました。次の詩です。

あゝ何もかももうみんな透明だ
雲が風と水と虚空と光と核の塵とでなりたつときに
風も水も地殻もまたわたくしもそれとひとしく組成され
じつにわたくしは水や風やそれらの核の一部分で
それをわたくしが感ずることは水や光や風ぜんたいがわたくしなのだ

この詩は、「種山ヶ原 パート三」の詩の一部です。この一節だけを切り取って、画集に紹介されていましたが、西岡さんの作品すべてに、この“透明”というテーマが流れているような気がします。ご本人も「自然の内に身を置いた時、自分が自然に溶け込んで透明になっていく感覚、自然・宇宙と一体になっていく不思議な感覚」について触れています。

“透明”、“溶け込む”、“自然・宇宙と一体”という言葉は、私にもしっくりきます。私たちは自然の一部ですし、私たち一人ひとりの魂は透明です。サンテグジュペリのように「大切なものは目に見えない」し、塩田千晴さんのように「死は宇宙に溶け込んでいく」現象にしか過ぎないと思っています。

帰り際に、西岡さんから声をかけられました。「アニミズムなんです。山尾三省を読んでみてください。またいつかお会いできたら」と。一つ前のブログで、土地を巡る戦争のことをお話ししましたが、(あ~、そうだなあ)と感銘を受けた山尾三省の詩がありました。「地蔵 その二」です。

本当は
土はそのまま神なのであり
私たちは それともしらず
神の上で遊び 仕事をし
神の上で苦しみ 涙を流していたのだった

私たちは神の上で苦しみ、涙を流しているのです。神の上で戦争をし、神の上で死を迎えているのです。すべては神の上で・・・。

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