ノブレス・オブリージュ

ノブレス・オブリージュ

オンラインカウンセリングのカナムーンです。

この写真は、フランスに行った時に参加したパーティーが催されたお城のシャンデリアです。モーツァルトのような出で立ちの方に出迎えてもらって、バッハの「Air on the G String(G線上のアリア)」をリクエストして演奏してもらった記憶があります。何だか貴族になったような気分でした。

フランスの貴族といえば、「ノブレス・オブリージュ」という言葉を思い出します。フランス語の「貴族(Noblesse)」と「義務を負わせる(obliger)」から誕生した言葉です。欧米社会では基本的な道徳観として浸透していて、財産や権力など社会的地位を有する者は、それ相応の社会的または道義的義務を負わなければならないという意味です。

財産や権力などは自分の外側の持ち物ですが、私はこの言葉を「持てる者の義務」と広く解釈しています。例えば、たくさんの知識を得て、さまざまな経験を積み、それによって豊かな知恵を持っている人たちが世の中にはたくさんいます。それは、自らが苦労しながら積み重ねてきた内側の持ち物であり、同時に深い愛情や勇気を持ち合わせていることも多いものです。また、内側の持ち物は誰からも奪われることがありませんので、一度身につけてしまえば一生ものでもあります。

そのような内面の豊かさを持っている者は、他者のために行動し、社会的に人々に貢献することを求められているような気がしています。自らの知識、経験、知恵、愛情、勇気などを惜しみなく他者に与えることが、「持てる者の義務」なのではないかと思っています。

私はあまり持っていないと自負していますが、その微力さを求めて、いろいろなお願いをされることもあります。大学院博士後期課程の時の指導教官であった梶田正巳先生から「頼まれたことは全部引き受けなさ~い。ハッハッハッ~(笑)」とよく言われていました。自分の興味のあることだけをやっていたのでは、人間の幅が広がらないという意図がそこにはありました。自らの持てる物を提供することは、自らを成長させる契機にもなるのです。

ですので、お願いされたことはなるべく引き受けるようにしてきました。年齢を重ねると共にだんだん無理がきかなくなってきたこともあり、お断りすることも増えてきましたが、「まあ、私の持っているものがお役に立つなら・・・」とお引き受けすることもしばしばです。

一人ひとり内面に持っているものは異なりますが、みなさんも持っているものが必ずあります。是非、それをまわりの人たちに還元してあげてくださいね。そうすれば巡り巡って自分のもとに還ってきますから。

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