子を亡くすということ

子を亡くすということ

オンラインカウンセリングのカナムーンです。

先日、女優で歌手の神田沙也加さんが自死されました。35歳でした。心からご冥福をお祈りいたします。

彼女の死を受けて、お骨を持った父親の神田正輝さんと、ご位牌を持った母親の松田聖子さんが会見を開かれていました。その映像をご覧になられたクライエントが、子どもが亡くなると親はあのような表情になるのだと改めてわかったので、親より前に死んではいけないな~と思ったと言っていました。

グロルマンは、愛児を失うと親は人生の希望を奪われると述べています。子どもを亡くした親は未来を失ってしまうのです。とにかく今この時をどのように生きていくかを模索し、あの世で我が子と再会した時に、少しでも誇らしく思ってもらえるように子どもの分まで頑張って生きようと思うことが精一杯になります。でも、それすらも叶わないこともあります。

最近2回続けて行った静岡県での研修では、娘さんを殺害されたご遺族である渡邉保さんとご一緒していました。2000年10月16日に22歳だった娘さんは帰宅途中に同級生だった男性に首を包丁で刺されて殺害されました。そして、その傷をご覧になった渡邉さんの奥様は、事件から5年後電車の事故で亡くなられました。

事件後、奥様は刃物を持って向かってくる男性と、その後ろで数人の中年女性がヒソヒソ話している悪夢を毎晩見るようになり、日常の買い物にも支障をきたすようになりました。リストカットも始まり、心療内科に通うもののまったく効果が見られなかったようです。最後は心神喪失状態で電車の事故に遭いました。

犯罪による子どもの死は、加害者への怒りに加えて、子どもを救えなかった親の自責感がどんどん大きくなる特徴があります。また、周囲の人たちがご遺族にどのように接すればいいのかわからず、しばらくそっとしておこうということで、ご遺族が孤立を深めていくことも珍しいことではありません。

自死による子どもの死は、なぜ子どもの気持ちを気づいてあげられなかったのか、育て方に問題があったのではないかと自分を責め、さらに社会的にも親の責任であると批判されることもあることから、「黙された悲しみ(silent grief)」「閉じ込められた悲しみ(frozen grief)」とも呼ばれています。

表出できない悲しみは、回復を遅らせます。これ以上悲しみの連鎖を生み出さないためには、一歩踏み込んだ支援が必要になります。みなさんの周りに悲しみを抱えた方がいらしたら、是非、心をかけて差し上げてください。

with k 4E