3.11

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オンラインカウンセリングのカナムーンです。

東日本大震災から今日で10年が経ちます。2011年3月11日午後2時46分頃、東北沖で9.0の巨大地震が発生し、東北や関東の沿岸に高さ10メートルを超える津波が押し寄せました。警察庁などによると、これまでに確認された死者と行方不明者は1万8,525人、震災関連死は少なくとも3,775人、合わせると2万2,200人の方がこの震災によって亡くなっています。

当時、「生命(イノチ)のメッセージ展inみえ」の開催を終え、大学生たちと反省会をしていた時に、横揺れの大きな波の上にいるような心地悪さを、東北から遠く離れた三重県で感じたことを鮮明に覚えています。本当に大きな震災でした。

臨床心理士は心のケアをする職種です。東日本大震災の時も心のケアをするために、被災地に続々入ったと聞いています。その際に、思い出したくないことをいちいち聞かれることを負担に感じ、避難所に「心のケアおことわり」という貼り紙を出されたところもあったと聞いています。「心のケアよりトイレを掃除してほしい」と言われたこともあったとか。

津波の後の被災地を見た臨床心理士の中には、二次受傷がひどくて、立ち直れなくなった人もいました。跡形もなくすべてのものを奪い去るその圧倒的な自然の力に無力感を覚え、その場に立ち尽くした人もいました。被災者の怒りをそのままぶつけられ、また支援者間の大きな軋轢を経験し、二度と被災地には入りたくないと感じた人もいたと聞いています。それだけ、被災地の傷つきは大きかったのだと思います。

遺体復元師の笹原留似子さんは、朝日新聞(2013.3.23)のインタビューで次のように語っています。「遺体安置所にひとりぼっちで安置されていた3才の女の子がいました。法律上、親族の許可がないとご遺体に触れることもできません。何もしてあげられなかったという後悔や無力感がずっと心にのしかかっていました。友人の僧侶に相談したら、『阿弥陀さんの胸に抱かれているんだよ、一人で荷物を背負わないで』と言葉をかけてくれました。お孫さんの女子高生を復元した時には、おばあちゃんが手を握って『あんたの手は、たくさんの悲しみに出会うんだね。だから、くじけないように魔法をかけたげるよ』と抱きしめてくれました。」

東日本大震災には、2万2,200人分の悲しみがあります。その悲しみを背負って生きていらっしゃる人は数え切れないほどだと思います。心理職として、その悲しみを一緒に背負って差し上げられたらと思いますが、共に寄り添うことしかできない圧倒的な無力感を常に感じてしまいます。それでも、やはり寄り添い続けたいと思います。今日のこの日に改めて、2万2,200人の方のご冥福を心からお祈りしています。

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