マンダラ

マンダラ

オンラインカウンセリングのカナムーンです。

奈良国立博物館に「空海~密教のルーツとマンダラ世界」を見に行きました。写真は、国宝の高雄曼荼羅の一部です。売店で販売されている絵葉書を写真撮影したものですので、本物ではないのですが、見ていると何だか心が落ち着きますね。

空海は、衆生救済を願い、真言密教を日本にもたらしました。多数の仏像や仏画により、その教えを目で見てわかるようにしたのが、密教のマンダラ空間であるとされています。このマンダラ空間を私もこの目で見たくて、奈良国立博物館まで足を運びました。

マンダラというと、私はユングを思い出します。ユングが中年期に精神的に不安定な状態に陥った際に、たくさんの円や四角を配置した模様を描きました。これが、マンダラに共通することを発見し、自分の描いた絵をマンダラと呼び、東洋の文化に強く惹かれていきました。

ユングは、「個人が心的な分離や不統合を経験している際に、それを統合しようとする心の内部の働きとして表れてくるのがマンダラである」と言っています。そして、河合隼雄さんは「これは明らかに、自然の側からの自己治癒(self-healing)の企てであり、それは意識的な反省からではなく、本能的な動きから生じてきたものである」と解説しています。

例えば、心的外傷後ストレス障害、いわゆるPTSDの患者さんのカウンセリングを行う際にも、さまざまな技法があるものの、最終的には個人の自己治癒力に頼らざると得ないといわれています。まさにその通りで、同心円を描く中心に人間の本質があり、その本質からくるエネルギーによって癒されているような気がしています。

マンダラの“manda”はサンスクリット語で「本質」、“la”は接尾辞で「得る」という意味です。つまり、この意味からもわかるように、本質や真理を得ることを表す図表がマンダラなのですね。人間すべてに共通する本質を得るのがマンダラで、それは自然や宇宙の本質なのだろうと思っています。

真言密教のマンダラの中心にいるのは大日如来です。大日如来は、宇宙の実相を仏格化した根本仏であり、一切の現実経験世界の現象はこの如来そのものであるとされています。また、禅宗の一筆書きの円の中心は、無であり空であります。円の中心には、空である宇宙が存在しているのでしょう。

そういえば、空海という名前にも空という字が含まれています。空海が、洞窟から修行を終えて出たときに見た空と海に心を打たれて、空海と名乗ったと言われていますが、きっとそこに宇宙の理を見たのかもしれません。そんなことを想像しながら高雄曼荼羅を眺めてみると、そこに宇宙が見えてきます。

みなさんも機会があれば、空海のマンダラ世界を体験しに行ってみてください。

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