親亡き後

親亡き後

オンラインカウンセリングのカナムーンです。

写真は、三重県松阪市にあるお菓子工房Mのクッキーです。お菓子工房Mは、就労継続支援B型事業所で、障がいをお持ちの方のひとりひとりの能力に合わせて、食品に携わるための衛生管理や体調管理の意識を持つように支援している事業所です。

先日、このお菓子工房Mで福祉就労をしているお子さんを持つお父さんのお話を聞くことができました。私が業務執行理事をしている社会福祉法人慈宝会心きらきら児童デイサービスで行っている、発達障がいのお子さんをお持ちの家族の分かち合いの会「やまびこ会」で、そのお父さんをゲストとしてお呼びして、先輩保護者としてお話をしてもらったからです。お子さんは小学校4年生まで、心きらきら児童デイサービスで発達療育を受けていらっしゃいました。

お父さんのお話のなかで、最も印象に残ったのは「子どもの障がいを隠してしまうのは、子どもの人生を拒んでしまうような気がして、とにかくオープンにしてきました」とおっしゃった言葉でした。だから、障がい者という枠に甘んじることなく、保護をし過ぎず、トライ&エラーを繰り返し経験させて、自分で判断できる力を養うことを心がけたそうです。

お子さんは大多数の子どもと同様に学童にも入り、塾にも通い続け、クラブ活動もし、社会人の集まりにも参加しました。親子で一緒に自転車で伊勢神宮まで往復したり、山登りをしたり、立ち食いそばを食べたり、メイド・カフェへ行ったり、考えられるありとあらゆることを共に経験したそうです。

特別支援学校高等部に入学すると同時に進路の確認があり、その頃からお父さんは市内にあるすべての就労継続支援A型とB型の事業所をまわりました。事業所に出かけてお話を聞いたり、作業を見学させてもらったりして、子どもに合う作業所はどこかを探し、お菓子工房Mのオープンさに惹かれ、福祉就労が決まったということでした。

特別支援学校には2つのコースがあり、その活動に大きな差があったことから、特別支援学校の中にも障がいへの差別があるのではないかと感じ、お父さんは学校へさまざまな要望を出されたようです。しかし、要望だけを一方的に出すのはあまりにも身勝手だと感じ、PTAの役員を引き受けながら、学校と共に話し合いを続けられたようですよ。

現在は、親亡き後も視野に取り組みをされています。障がい年金の申請、グループホームへの入居、一般就労の可能性、余暇活動の継続、現在の障がい者福祉サービスのあり方の協議、国に対しての要望など、当事者として抱える課題に真摯に向き合っていらっしゃいます。お話をお聞きして感銘を受けましたので、何かお手伝いができればいいなあと思っています。

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