坂東玉三郎さん

坂東玉三郎さん

オンラインカウンセリングのカナムーンです。

2024年が始まりました。1月1日に令和6年能登半島地震が発生し、1月2日には航空機事故がありましたので、年明けから当事者の方たちの安否を気遣う日々が続いています。テレビのニュースを見ながら、自分はこうして平穏な日常を過ごしていてもいいものかと、当事者の方たちに共感するあまり、ご自分を責めていらっしゃる方もいるかもしれません。

このような非常事態の際には、心理職の身としては、能登半島に緊急支援に入ることを予想しながら、準備をしなければなりません。熊本地震のときには発災後10日余りで、日本臨床心理士会から「緊急支援の派遣スクールカウンセラー事前名簿」の収集依頼があり、当時の三重県臨床心理士会被災者支援特別部会長だった私は、会員への連絡を急いで行ったという記憶があります。

そんな準備の想定を行いながら、お気楽にも昨日大阪松竹座に「坂東玉三郎 新春お年玉公演」を観に行ってきました。すでにチケットを取っていたこともあったものですから、被災地のみなさまには申し訳ないなあと思いながらも、足を運びました。

1幕は口上と地唄「黒髪」、2幕は「天守物語」や琴の演奏、3幕は「由縁の月」の上演でした。玉三郎さんは、その立ち居振る舞いや在り方そのものが、とても美しいとしか言いようがありませんでした。この世のものとは思えないぐらいの美しさでした。白いというか、透き通っているというか、光り輝いているというか、何とも形容しがたい美しさだったのです。

2年前の『RED Chair』のインタビューで、玉三郎さんは「もう何にも生まれ変わりたくない」とおっしゃったのがとても印象的だったことを覚えています。きっと玉三郎さんは、今世を地球最後の仕上げにするつもりで、生まれ変わったきたのだろうなあと思った瞬間に、玉三郎さんの舞台を観てみたいと強く思いました。そして2年の歳月を経て、やっとこの目で観ることができました。

玉三郎さんは上記のインタビューの中でこのように言っています。「鬼を伝えるって書くのね、魂って。どういうふうに考えたとか、どうやってこの仕事になったとか、何が好きとか。そういうことは、生まれてきた時に宿った魂なんだと思うんです」と。私もこの考えに共感します。まさにその通りだと思います。

玉三郎さんは、生まれてきた時に宿った魂のまま生きてきた人なのだろうなあと、舞台を観て深く実感しました。魂のまま、自分の中にある鬼を伝えることを、その人生一筋で体現してきたからこその美しさを、目の当たりにした新春お年玉公演でした。大きなお年玉をいただいたことに心から感謝いたします。

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