しゃくなげ

しゃくなげ

オンラインカウンセリングのカナムーンです。

写真の花はシャクナゲです。散歩道の途中にあるお寺の境内に咲いていました。真っ赤な花が凜と咲いている姿に引き寄せられて、思わず写真を撮ってしまいました。何だか威厳がありますね。

シャクナゲの花言葉は「威厳」「荘厳」です。もともとは高山植物で、足下の悪い場所で綺麗に咲き、入手が難しいことから“高嶺の花”とも呼ばれていました。また、シャクナゲの葉には毒が含まれているため、「警戒」「危険」という花言葉もあるようですよ。美しいものには毒が含まれているのかもしれませんね。くわばらくわばら。あっ!この呪文は雷のときに唱える呪文でした。

写真でもわかる通り、しゃくなげの花にはめしべとおしべがあります。このめしべとおしべを見るたびに思い出す詩があります。吉野弘さんの『生命は』という詩です。最初のくだりだけご紹介します。

生命は 自分自身だけでは完結できないように つくられているらしい
花も めしべとおしべが揃っているだけでは不充分で
虫や風が訪れて めしべとおしべを仲立ちする
生命は その中に欠如を抱き それを他者から満たしてもらうのだ

この世の生命は、それぞれが補い合うことで、一つの総和になっていると、吉野弘さんは続けます。生命は一つだけ、一人だけでは不充分で、お互いに繋がり合って生きています。それが生命の本質なのかもしれません。私の生命活動はあなたの生命活動に影響を与え、あなたの生命活動は私の生命活動に影響を与えています。それぞれが対等でお互いさまの関係性ということです。

あるバス会社が、客からの行き過ぎた苦情の多さから「お客様は神様ではありません」という意見広告を出しました。ある病院の院長からは「患者は看護師を奴隷のように扱っています」と聞いたことがあります。いわゆるカスタマー・ハラスメントと呼ばれるものです。

どうしてこのようなことが起きるのでしょうか。お金を払っている側だから、何を言っても許されると思っているのかもしれませんね。社長が社員に対して暴言を吐いたり、客がサービスを提供する側に不当な要求をしたり……。私たちはいつ立場が逆転するかわからないし、補い合いながら生きているのに、このようなことが起きるなんて、人間という生きものは悲しい生きものだなあと、シャクナゲのめしべとおしべを見て改めて思った散歩道の出来事でした。

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