加害少年の問題

加害少年の問題

オンラインカウンセリングのカナムーンです。

YAHOO!を見ていたら、自民党の作業部会が、いじめ加害者に学校への立ち入りを制限する懲戒制度の提言案をまとめたというニュースが目に飛び込んできました。現在も、加害者の登校を制限する「出席停止」の制度はあるのですが、手続きが煩雑で、また被害・加害の判定が学校だけでは難しいため、2020年度は全国で1件しかありませんでした。

これはまさしく加害者の問題ですが、加害者に対してどのような対応を行えばよいのかという全体像が見えているのかどうか・・・少し疑問が残ります。

私は17年間被害者支援を行ってきましたから、基本的には加害者支援は行わない立場でした。でもね、被害と加害というのは繋がり合うところがあり、まったく切り離して考えることが難しいことから、最近では加害者の問題にも取り組むようになってきました。

2009年に『少年院を出たあとで』という本が出版されました。私は当時この本を手に取って勉強した形跡がありますから、13年前から加害者問題をどうにかしないといけないという課題意識を持っていたようです。

私はこの本の中の以下のような内容にマーカーを引いていました。

・日本の少年院は情報の閉鎖性と不十分な被害者教育が課題であるということ。
・加害少年に自信やプライドを取り戻させ、職業スキルを身につけさせて、社会で普通に働いて生活し、家庭を持てるようにすれば、再び犯罪をおかすことはないだろう、立派に更生したことになるだろうという考えが根強いこと
・加害少年から過去を切り離し、これからをどのように生きるかという未来に焦点を当てた矯正教育を行っていること
・少年院を出た後は、保護観察官やボランティア保護司の深刻な人手不足、出院者を受け入れようとしない社会、出院者に対する偏見や差別の問題があるということ

少年院という場所での矯正教育や出院後の更生教育が日本では戦後からずっと行われてきましたが、上記のような課題が今も存在していると思われます。このように加害少年に特化した教育すら課題が山積しているのに、学校がいじめ加害者を教育し直す術を持っているのかどうか甚だ疑問なのですね。

いじめ加害者の立ち入り制限をした後で、学校は何をすればいいのでしょうか。いじめ加害者が再びいじめをしないようにするために何が必要なのか、そしてそれを誰が担うのか、その効果はどれほどのものなのか、それを検証する仕組みは作られるのか・・・その全体像が文部科学省には見えているのでしょうか。立ち入り制限をしやすいようにすればいいという問題ではないのにな・・・と思ってしまったYAHOO!ニュースでした。

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