聞こえの問題

聞こえの問題

オンラインカウンセリングのカナムーンです。

「人の喧騒の中にいると身体症状が出てしまう」という主訴で相談にきた方がいらっしゃいました。よくよく話を聞いてみると、教室で先生が何を言っているのか聞き取れなかったり、グループ活動をしている時に誰が何を話しているのかわからなかったりするというのです。それを聞いて、選択的に音を聞くことが難しい聴覚情報処理障害(Auditory Processing Disorder : 以下、APD)と聴覚過敏を疑いました。

APDとは音としては聞こえているのに、言葉として聞き取れない障害です。APDの方に共通する特徴を5つご紹介します。みなさんの周りにもいらっしゃるかもしれませんよ。

①騒音下で聞き取れなくなる
②複数人の会話が聞き取れない
③話すスピードが速いと理解できなくなる
④電話や無線などが聞き取れない
⑤横や後ろから話されるとわからない

これらの特徴がなぜ起こるのかは明確にはわかっていませんが、おそらく生まれつき脳の音声処理機能に問題があると考えられます。

音は耳の外耳道を通り鼓膜で空気の振動に変換され、耳小骨という三つの骨で増幅されます。そして、内耳にある蝸牛が電気信号に変えて蝸牛神経を介して脳に伝えるのです。この蝸牛が電気信号に変える時に、雑音を消して意味のある音を活性化するのですが、まずここでうまく雑音を消すことが出来ない可能性があります。また、聞こえにおける聴覚の遠心性神経の機能障害が疑われる場合は、これが聴覚過敏に関係している可能性もあります。

これらの聞き取りを少しでもよくするために、さまざまな工夫をする必要が出てきます。まずは周囲がうるさいところでは聞き取りが悪くなるため環境を改善することに取り組みます。また、入ってきた音をデジタルで調整することにより雑音のみをおさえるノイズキャンセリング機器の利用を考えます。その他、聞き取りの悪さを視覚的に補う方法や音声レコーダーで聞き取れなかった内容を後で確認するなどの工夫をしていきます。

まずはこれらの聴覚における聞こえづらさへの調整を行ってから、身体症状を呈するまでに至った認知の仕方や社会不適応へアプローチをしていくことになります。いわゆるこれがBio-Psycho-Social(BPS)モデルと呼ばれている方法ですので、支援者の方は覚えておいていただければと思います。

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