ボタンのつけ外し

ボタンのつけ外し

オンラインカウンセリングのカナムーンです。

8月22日(日)に「みんなで考える外国につながる子どもたちの発達障がい」というテーマでシンポジウムを行います。私は第2部のパネルディスカッションのコーディネーターを担当するのですが、先日、パネリストたちと事前打ち合わせを行いました。

“外国につながる子どもたち”という言葉自体がわからないなあと思われる方がいらっしゃるかもしれませんので、まずはここから説明したいと思います。日本にはさまざまな形で外国につながる子どもたちがいます。子ども自体が外国籍である場合はもちろん、国籍は日本でありながら両親の両方またはどちらかが外国籍である場合もあります。ですから、本人の国籍を問わず、多様な言語、文化、慣習などの中で育ってきた、さまざまな形で外国につながる子どもたちを総称しています。

この外国につながる子どもたちは、異なる言語、文化、慣習などの中で育ちますので、日本語を母語として育つ子どもたちと比べると、言葉の発達という面ではハンディキャップがあります。そうすると、日本語が定着していかない、もしくは学校生活を落ち着いて送れない原因が、言葉によるものなのか、家庭環境によるものなのか、発達障がいによるものなのかの判断が非常に難しいという問題が出てきます。

この辺りの課題も含めて、外国につながる発達障がい児をどのように支援していくのかを話し合うのが、上記のシンポジウムのテーマになります。この事前打ち合わせの中で、発達障がいのお子さんをお持ちのブラジル人のお母さんから、興味深いお話を伺いました。ネタバレになってしまいますが、少しご紹介したいと思います。

ブラジルでは6歳までの子どもは「まだまだ赤ちゃん」と考えて、ボタンのつけ外しは親がします。ですから、発達を測る検査の中でボタンのつけ外しがあっても、子どもはできません。フィリピンも同じような文化があるようです。片付けも親がします。食べながら遊ぶのは普通です。保育園では座って食べなければなりませんが、家庭の延長で座らない子どももいます。これは発達の問題ではなく、文化や習慣の問題です。日本の家庭にはあるルールが、ブラジル人家庭にはないのです。これは日本人と外国人の子どもの自立の違いなのだそうです。

へぇ~、おもしろ~い!と思いました。そして、なるほど~!と納得しました。これは外国の文化や習慣を知っていなければ、思いつかない観点です。そういえば、ブラジルでは子どもは積木で遊ばないから、発達検査で行う積木を積むという課題の理解自体が難しいという指摘もありました。日本の文化や習慣という一つのものさしだけで測ること自体を見直さなければならないなあと改めて気づかされました。この年齢になっても新たな気づきがあるというのはワクワクします。よろしければ、8月22日のシンポジウムにご参加くださいね(http://www.mief.or.jp/)。

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