胸のドキドキ

胸のドキドキ

オンラインカウンセリングのカナムーンです。

「3か月に1回ほど、夜寝ている時に胸がドキドキして眠れない時があります」というご相談を受けました。

サザンオールスターズの曲「若い広場」の中に、♪君の名を呼ぶリル/シャイなハートがドキドキ♪というフレーズがあるように、好きな人のことを思い浮かべてドキドキするのかな~と思いきや、どうやらそうではないようです。写真の鹿たちはドキドキしていそうですけどね(笑)。それでは、そのドキドキの原因は何でしょう?

バランスのとれた医療では、人間の存在を「生物・心理・社会性(Bio-Psycho-Sociality)」として統合的に見ようとする立場が必要だと言われています。これは、1970年代にジョージ・エンゲルによって提唱されたモデルで、大きな視点で患者さんを見る立場が示されています。ジェネラルの本質である家庭医に必要なモデルだとも言われています。

この立場から胸のドキドキの原因を探ると、まずは生物学的に問題がないかと考えます。胸のドキドキはいわゆる動悸ですので、心臓の病気から、ホルモン異常やストレス、自律神経のバランスの崩れなどを検査によって特定していきます。生物学的に問題がないとなると、次に心理的な問題がないかを探っていきます。

人は不安を感じたときに心臓がドキドキして、冷や汗をかき、身体に力が入ることを感じます。また、呼吸が浅く、とても早くなります。手足が冷たく感じられることも少なくありません。同時に、その場から急いで逃げだしたいと思ったり、ときには、まるで自分の命が脅かされているような危機感を抱くといった、言いようのない不快感を経験します。これは脳の扁桃体が不安を感じた時に身体に起こる現象です。

この不安感が胸のドキドキと密接に関わっていることが多いのですが、相談にいらした方も「また失敗したらどうしよう」という不安感を抱えていらっしゃいました。そうすると、不安から来るパニック症の初期症状が考えられるかもしれません。パニック症は、パニック発作、予期不安、広場恐怖を三大症状とする、突然訪れる恐怖や強い不安によって、動悸やめまい、呼吸困難が現れる病気です。

そのため、認知行動療法を行うことを提案しました。考え方(認知)の変化を試みることで、振る舞い(行動)の変化を促し、「失敗したらどうしよう」という予期不安を和らげる方法です。

例えばハイキングに行って、足下でガサガサという音がしたら、そこに大嫌いなヘビが現れて、恐くて逃げたという経験を数回したとしましょう。そうすると、家の近所の植え込みでガサガサという音がした時に「きっとヘビにちがいない」と考えて、恐くて逃げるようになります。次に同じようなガサガサという音を聞いたら、恐いから家にいようとなり、家から出ることすらできなくなるという、恐い対象から回避する行動が身についていきます。これがパニック症の予期不安と回避行動の元となる考え方(認知)の特徴で、この変容を試みていくのが認知行動療法です。

みなさんにもこのような予期不安や回避行動はありませんか?もし心当たりがあるようでしたら、オンラインカウンセリングのカナムーンをご利用ください。

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