意識の発達

意識の発達

オンラインカウンセリングのカナムーンです。

一昨日、サルに文化があることを見いだした霊長類学者の河合雅雄さんが亡くなられました。河合雅雄さんは、日本の臨床心理学の第一人者である河合隼雄さんのお兄さんです。優秀なご兄弟だったのだなあと改めて思いました。ご冥福をお祈りします。

河合隼雄さんといえば、一つ前のブログでご紹介した村上和雄さんに、「魂と遺伝子学の研究はおもしろいテーマだよ」とおっしゃったというエピソードがあります。魂というと胡散臭いイメージがありますが、河合隼雄さんは魂という言葉を著書の中でもよく使っていました。また、「誰にも迷惑をかけない援助交際がなぜダメなの?」という女子高生の問いに誰もが明確な答えを出せなかった時に、「魂が汚れるからダメなんだ」ときっぱり言い切られたことが今でも印象に残っています。

魂は精神世界を表す言葉です。魂は目で見ることができないし、触れることもできないので、物質世界のものではなく精神世界に由来するものです。この物質世界での意識の発達と、精神世界での意識の発達を統合した発達モデルがあります。クレア・グレイブスのスパイラル・ダイナミクスです。

このスパイラル・ダイナミクスは、第一層の物質世界での意識の発達を6段階とし、その上層に第二層として精神世界での意識の発達が2段階あります。下層から1本能的/生存的、2呪術/アニミズム、3衝動/自己中心性、4目的的/権威主義、5達成/戦略、6共同/平等、7統合性、8全体性で、7と8が精神世界に属する意識の発達です。日本人の大人の多くは5の達成/戦略の段階で、6の共同/平等の段階は物質世界のほぼ完成形に近いと言われています。ここまでくれば十分なのですが、まだまだその上の段階があるようです。でも、第一層を超えて、精神世界の第二層に至る道筋は容易ではないらしく、6の共同/平等の段階にいる二人がその層をこえるためにツインソウルシステムなるものが存在するという説があります。

ツインソウルシステムとは、ある意味真逆な性質を持った、それでいて圧倒的な影響力を持ち、片時も目を離せない存在(ツインソウル)に出会うことで、雷に打たれたように、それまで物質世界で築きあげた強固な自我を打ち壊します。得も言われぬ感情に揺さぶられ、不安定さの中から、これまで見たこともない自分というものを発見し、やり残した人生の宿題を片付け、第二層の霊性の知を含む全体性の視点を獲得するというシステムらしいのです。まさに死と再生です。そして、第一層から第二層にかかるらせん階段を、意識、無意識問わず上下動しながら、多方面に散らばる意識に翻弄されて、いくつもの人生を一度に過ごしているような濃密で意味深い時を過ごすことで、意識の発達の最終段階に近づいていくようです。

このスパイラル・ダイナミクスやツインソウルシステムの考え方を聞いて、真っ先に頭に浮かんだのは、良寛と貞心尼です。だいぶ前のブログ「良寛の恋」でも触れましたが、二人が出会うことでそれぞれが共鳴し合いながら、無条件の愛によって、無から有を生み出していきました。それまで物質世界で堅実に生きていた二人が出会うことによって、第二層の精神世界へのらせん階段を登っていく姿が想像できました。そうすると、この考え方もあながち間違いではないのかもしれないなあとぼんやり感じてしまう私がいたりします。

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