不登校

不登校

オンラインカウンセリングのカナムーンです。

不登校のお子さんのことで悩まれて相談にいらっしゃる親御さんが多くいます。「どうしたら学校に行かせることができますか?」というご相談です。学齢期の子どもは学校に行くことが普通であるという観念があるので、このご相談は自然なことだと思います。

ただ、「臨床心理士の常識は、世間の非常識」と言われることもありますので、それを前提にお話をすると、学校に行きたくなければ行かなくてもいいと私は思っています。だって、目の前にいる子どもが、「学校に行きたくない」もしくは「行きたいけれど行けない」と言っているのであれば、そこには何らかの理由があるからです。「どうして学校に行きたくないのか」もしくは「どうして学校に行けないのか」という背景にある子どもの思いのほうが、学校に行かないという事実よりも大切だと思っています。

平成30年に日本財団が行った調査によると、中学校に行きたくない理由として、朝起きられない、疲れる、体調が悪くなる、学校は居心地が悪い、友だちとうまくいかない、自分でもよくわからない、学校に行く意味がわからない、先生とうまくいかない、良い成績がとれないなどが挙げられています。学校に起因するもの、家庭に起因するものなど、さまざまですが、学校に行くことに何らかの違和感があるのでしょう。だから、行きたくないのです。

「行きたくなければ行かなくてもいい、行かないという選択をすることが自分を守ることになるのであれば、行かなくてもいいんじゃない?」と不登校のお子さんにお話をすると、ホッとした表情を見せることが多くあります。子どもは学校に行かなければならないということはわかっています。だから、行かないもしくは行けない自分を責めて、毎日毎日葛藤しながら生活をしています。そのたびにこころやからだのエネルギーが放電していくので、さらに学校に行けなくなる・・・という悪循環が起きるのです。しんどいことです。

一方、親御さんにとっては、子どもが不登校になるということは、大多数の子どもが歩む一般的なレールから外れることになるという危機感をお持ちになることが多いようです。それも自然な感情です。将来、この子が苦労することになるのではないか、社会に出て一人で生きていけるのか、と心配されるのは当然です。ですが、この心配から「今日は学校に行くの?」「いつ学校に行くの?」「どうして学校に行けないの?」と問いかけることが、子どもを追いつめていくことになり、それがこじれてこじれてこんがらがって、私のところに相談にいらっしゃるのですね。

誰にでも調子が悪くなる時はあります。人生山あり谷ありですから。それが今なのか、大きくなってからなのかは人それぞれです。たまたま学齢期に調子が悪くなったので、不登校という形をとっているだけなのだと思います。そんな時はお子さんがこころとからだのエネルギーを溜められるように、ゆっくりお休みをさせてあげてほしいと思います。そうすれば、ここぞ!というタイミングがやってきます。すべての出来事にはタイミングというものがあって、必要な時に必要なことが起きるからです。そのタイミングを見逃さずに、背中をそっと押してあげられたら、何かしらの変化が起きるはずです。

家族がゆったり見守る安心感の中でお子さんが育つことのほうが、無理に学校に行かせるよりも大切な時があります。今目の前にいるお子さんが、どうしたらこの瞬間を少しでも幸せに生きられるかを考えてあげることを優先していただけたらと心から思います。

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