風の谷のナウシカ

風の谷のナウシカ

オンラインカウンセリングのカナムーンです。

支援者の人たちと今流行っているものについて話をすることがあります。その時に一人の支援者が、「『鬼滅の刃』を好きなこどもたちが多くて、ストーリーもいいのだけれど、私にとっては『風の谷のナウシカ』が宝物なのよ~」と言っていたのを聞いて、早速全巻購入して読んでみました。いろいろな人との会話の中で出たテーマは、何らかの直感的なメッセージであると思って、そのまま受け取るようにしています。

主人公のナウシカは、もともとギリシャ神話の『オデュッセイア』に登場するパイアキア王の王女「ナウシカアー」がモデルであると言われています。結婚もせず、竪琴を弾き、海岸を走り回る自由な王女で、海岸に血まみれのオデュッセイアが打ち上げられて、みんな逃げ惑うのに、彼女は彼を介抱するというイメージが、ナウシカにつながったということです。自由で勇敢ですね。

『風の谷のナウシカ』は人間の業を扱った普遍的な作品であると感じました。いのちは光と闇や、清浄と汚濁の二面性を持ち、そこからいのちへの慈しみや友愛の心が生まれることを伝えてくれているような気がしています。闇がないと光は感じられないし、汚濁がないと清浄であることがわからなかったりします。それらは対になっているからこそ、その存在を確認できるという特徴があるのです。

同じ宮崎駿さんの作品の中に『もののけ姫』があります。こちらは日本的な八百万の神の要素がふんだんに織り込まれていますが、『風の谷のナウシカ』はキリスト教的な神と悪魔という二律背反的な要素が強いな~と感じました。神は絶対的な存在であり、それに対抗するものとしての悪魔が存在するという物事の二面性が強調されていました。一方、日本的な神様は、河合隼雄さんが言う中空構造があり、二つの相反する物事の中心には空や無があり、それによってバランスを取っているという特徴があります。私はやはり日本的な神様のほうが肌にしっくりくる感覚があります。

まあ、難しいことはともかく、ナウシカは常に純粋で優しいのです。ナウシカと接する人はみんな彼女が好きになります。何よりいのちを大切にし、今自分にできることを一生懸命考えます。それまで敵だった人たちを虜にし、みんながナウシカを中心に繋がっていきます。そして真理を追究する澄んだ素直な心を持ち、自然を心から愛し、人間の業にも立ち向かっていく強さも持っています。なんという魅力的な人物でしょう。そういう人に私もなりたいと心から思いました。

『風の谷のナウシカ』をすすめてくれた支援者に、「全巻読みましたよ」と報告したら、「深いでしょ~」とニコニコされていました(笑)。それぞれに自分を支えている宝物があるのだな~と改めて感じた瞬間でした。みなさんの宝物を是非教えていただきたいな~と思いました。

with k 4E