冬青(soyogo)

冬青(soyogo)

オンラインカウンセリングのカナムーンです。

元旦の朝から、日課のお散歩に出かけました。寒風吹きすさぶ中、ダウンコートを着込んで、いつものようにブラブラ歩きました。この写真は、散歩道の途中にある冬青(ソヨゴ)という木です。私は「毎日会おうね」と意味を込めて、“約束の木”と呼んでいます。

このソヨゴは赤い実をつけるので、初めは南天かな~と思っていたのですが、南天はこんなに背が高くは育たないので、植物図鑑で調べたら、ソヨゴであるとわかりました。このソヨゴは12月25日の誕生花で、濃厚な味わいの蜂蜜が採れる花です。そして名前は葉が風に揺れてそよぐから「ソヨゴ」になったということです。何だか親父ギャグのようですね。花言葉は「先見の明」。やせた土地や乾燥にも耐え丈夫に育つことから、先を見越し、時代を生き抜く力があるということで、この花言葉になったとか。少しこじつけのような感じもして、花言葉を作る人も大変だな~と思いました。

それにしても、「冬青」と書いて「ソヨゴ」と読ませるセンスが私は好きです。葉が冬でも青いことから「冬青」というらしいのですが、何だか寒さの中にも凜として青を放っているイメージが湧き上がってきます。でも、本当は葉の色は緑色なんですけどね。

文学の中にも、この「冬青」という言葉が出てくるものがあります。例えば、芥川龍之介の『少年』では、「そう云う蟻には石灯籠の下や冬青(モチ)の木の根もとにも出合った覚えはない」や、島崎藤村の『夜明け前(第二部)』では「よく行った神門のそばには冬青(ソヨギ)の赤い実をたれたのが目についたが」とあります。モチノキとソヨゴはよく似ているので、同じ漢字が当てられているのでしょうか。

芥川龍之介の『少年』の中の「海」という小説では、保吉という少年が、大森海岸の海の色を赤っちゃけた「代赭色(タイシャイロ)」と認識して、常識的な海の青に対しておかしいと思い、それを母に否定されるという物語ですが、葉の青も海の青も、常識的な青色ではないことの可笑しさを感じることができます。そういえば、信号機も緑色なのに青と言いますね。

日本語の古来の色名は「赤、青、黒、白」の4色で、この「青」には現在の「青」と「緑」の両方が含まれていて、これは万葉集の時代より前からあったと思われています。「あをによし奈良の都は咲く花のにほうがごとく今さかりなり(万葉集巻三328)」の「あを」は木々の緑色を表しているようです(諸説ありますが)。だから、日本人は緑色よりも青色のほうが馴染みがあるのかも。

「冬青」から奈良の都の春の光景まで連想が飛びました。元旦の寒さから、暖かな春の日差しを求めてしまったのかもしれません。花が咲き乱れてよい香りでいっぱいになる春を心待ちにしながら、この冬も楽しみたいと思います。

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