72時間

72時間

オンラインカウンセリングのカナムーンです。

まずは、7月3日に静岡県熱海市で発生した土砂災害で被災された方に心からお見舞いを申し上げます。そして、生存率が急激に低下する72時間の壁が迫ってきています。捜索活動は危険を伴う作業ですが、安全を確保しながら、できるだけ早く行方不明になっている方を救助していただければと願っています。

災害時には、72時間の壁が話題になります。これは、災害発生から24時間で被災者の生存率は約90%、48時間では約50%、72時間では20~30%となると言われていて、72時間で生存率が急激に低下するとされているのです。

この72時間の壁というのは、命の生存率を指していますが、実はトラウマ(心の傷)の回復にも大きな影響を及ぼします。国際スタンダードでは、命の危険を感じる出来事によってトラウマを受けた時には、72時間以内に適切なケアを受ける必要があると言われています。早期に適切に支援を受けることで、被災からの回復が早まります。

命からがら避難された方や、土石流で大切な家族を亡くされた方など、この土砂災害でさまざまなトラウマを経験されている方が数多くいらっしゃいます。コロナ禍でこれまでの避難とは異なる方法が模索されている中、十分な支援が受けられるのかどうかを危惧しています。

熱海市は宿泊施設が多い観光地ですので、ホテルが避難所として提供されているという報道を目にしました。被災をすると、当たり前の日常を奪われます。自宅で朝起きて、出かける準備をして、家を出る、電気、ガス、水道などが当たり前に使える、昨日までと変わらない当たり前の日常を、家族みんなが当然のように送れることが、どれほど尊いことかを改めて実感することが多い災害です。体育館などに避難することを思うと、宿泊施設に避難できることは、少しでも日常からの欠乏感を軽くすることができるような気がしています。

大切な家族を亡くされた方への支援は急いでほしいと思います。「どうして守ってあげられなかったのだろうか」、「どうしてこのような亡くなり方をしなければならなかったのだろうか」、「自分が何か悪いことをしたからこのような目に遭ったのではないだろうか」と、遺された家族は自分を責めることが多いのです。

72時間以内に、もしくはできるだけ早く支援に入ることで、急性ストレス障害(ASD)や心的外傷後ストレス障害(PTSD)への移行を食い止めることができるかもしれません。また、万が一ASDやPTSDを発症したとしても、その症状の長期化を防ぐことができる可能性が高くなります。救助者や支援者が、それを必要としている人たちの元にできるだけ早くたどり着けるように心からお祈りしています。

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