桃の節句

桃の節句

オンラインカウンセリングのカナムーンです。

今日は令和3年3月3日のひな祭りです。女の子のすこやかな成長と健康を願う桃(上巳)の節句です。この節句はそもそも古代中国の陰陽道から伝えられた風習で、1・3・5・7・9の奇数が重なる日に、お供えやお祓いをする風習があったということです。奇数=陽数が重なって陰になることを避けるという中国の思想から、この日に邪気を祓うための行事が始まりました。1月7日は人日(ジンジツ)、3月3月は上巳(ジョウシ)、5月5日は端午、7月7日は七夕、9月9日は重陽の節句です(1月1日は別格)。節句にはもともと男女の区別はないのですが、菖蒲を「尚武」にかける端午の節句に対し、上巳の節句は優雅な女の子のお祭りとして楽しまれるようになったということです。

女の子のすこやかな成長と健康を損なうものの一つに性暴力があります。この連想は犯罪被害者支援をしている私の特徴でもありますね。職業病みたいなものかもしれません。

私はある性暴力ワンストップ支援センターでカウンセリングを担当していますが、今年は相談件数が多く、電話相談等も入れると昨年同月比で約200件以上も増加しています。それも、小学生や中学生の女児の被害が増えてきている印象があります。同じ学校内に被害者と加害者がいるケースもあり、被害者を守るための対応に苦慮しています。これまでは被害者側が転校するものという暗黙の流れのようなものがあった傾向がありますが、被害者は基本的人権を侵害された人であり、元の生活を守られなければならないという基本的な原則が被害者支援にありますので、その基本軸に沿った支援が求められます。

そういえば、この性暴力ワンストップセンターを立ち上げる際に、学識経験者として意見を求められたことがありました。その時にお話ししたのが、アメリカ・ペンシルベニア州のチェスター郡犯罪被害者センターの例です。1973年に設立されたセンターは、相談件数が約4,000件、ボランティアが担当する時間は約8,000時間で、事件発生からセンターの24時間ホットラインを経て、当番スタッフやボランティアが40分以内に警察や病院へ急行する仕組みを整えています。そして、最後まで被害者の側に立ち、被害者を孤立させないという基本原則に基づいて支援を行っています。チェスター郡犯罪被害者センターのような仕組みが作れたら、一人でも多くの性暴力被害者の方を救うことができるのではないかと思っています。

この最後まで被害者の側に立つという姿勢は、とても大切です。支援者は被害者の味方で居続けなければなりません。それは被害者の全てを肯定するということを意味するわけではなく、時には被害者の自立のために厳しい意見をすることもあります。でも、どんな時でも、被害者の味方として存在し続けるのです。

考えてみると、この味方で居続けるということは、被害者支援に限ったことではないような気がします。私自身もまわりにいる大切な人の味方で居続けなければならないと改めて感じています。大切な人が窮地に陥ることがあれば、決して一人ぼっちにはさせず、時には共にその場を去ったり、時には共に新しい場所に向かったり、時には共に喜怒哀楽を共有したりし続けたいと思います。そして、その人が不安に思うようなことがあれば、「私があなたの味方でなかったことがありましたか?」と勇気づけられたらと思います。

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