先人の知恵

先人の知恵

オンラインカウンセリングのカナムーンです。

昨日は台風接近のため大雨が降りました。大雨が降ると、誰も住んでいない実家は大丈夫だろうかと心配になります。そこで今日は、ブレーキランプに照らされたフロントガラスの雨の雫の写真です。愉快な仲間たちが送ってくれました。大活躍です。

さて、今日の毎日新聞の記事に、「学校の津波対策 教委6割が大川小判決の水準に マニュアル点検・指示済み46%」という見出しがありました。南海トラフ巨大地震などで津波が想定される全国108市町村の教育委員会にアンケート調査をした結果、2年前の3割程度から、46%に対策が進んだというものでした。被災者支援を行っている立場からすれば、まだ半分にも達していないのだな~と少し残念な気持ちです。

災害は突然やってきます。明日南海トラフ巨大地震が起きてもおかしくありません。でも、いつやってくるかわからない巨大地震よりも、目の前で起きている雑多な出来事に対応することが優先されるのが現状です。平時から準備しておくことが望まれる対策が後手後手にまわり、大川小学校のような悲しい出来事が繰り返される・・・。私たちは大切なことを忘れてしまう生き物なのかもしれませんね。

日本はこれまでたくさんの災害が起きてきました。そのたびに先人たちは、その教訓を残そうと努力してきました。その例として、地名があります。例えば、「水」に関する川、池、浜、津、洲、浦、沢、湧や、浅、深、崎、戸、門、田、谷、鼻などが使われた地名は、水に関わりがあり、過去に津波被害や台風、豪雨などに大きな災害があった地域と考えられています。

冒頭に書いたもう誰も住んでいない実家は、私が25年間ほど暮らした家で、その地名は「垣鼻(カイバナ)」と言います。小さな漁師町出身の両親が結婚して家を建てたのがその土地です。この垣鼻は、幕末・明治までは垣鼻村という村だったようです。志村圭志郎さんがこの垣鼻村のことを書籍に残していますが、明治18年7月に梅雨時期の大雨が降り、川の堤防が大破して洪水になったという記録が残っています。だから、大きな台風が来るたびに、水の心配をしなければならなかったのだと改めて合点がいきました。

東日本大震災から9年7か月が経ちます。多くの方たちの命が奪われ、今もなお心の傷が癒えない方たちが数多くいらっしゃいます。被災地に支援に入った心理職も、その圧倒的な無力感から回復にかなりの時間を要したと聞き及んでいます。それほどまでに、災害は人の心を根こそぎ傷つけていきます。犠牲になられた方たちの命を無駄にすることのないように、遺された私たちはその教訓を胸に刻み、命を守るためにできることに真摯に向き合う必要があるのだろうと、今回の記事を見て実感した次第です。

with k 4E