グレートマザー

グレートマザー

オンラインカウンセリングのカナムーンです。

先日、元養護教諭の先生とお話をしている時に、「70才になっても、母親に支配されている子どもとして生きている人がいるのよ」という話題が出ました。母親というのは難儀なものです。そこで、今回は母親について書いてみたいと思います。写真はタラちゃんの母親であるサザエさんです。サザエさんに見えますか~?

ユング心理学では、母という要素には二面性があり、一つには子どもを慈しんではぐくむ力、もう一つは子どもを束縛し、のみこんで破滅させてしまう恐ろしい力があるとされています。母のイメージは、あらゆる物を育てる偉大な母(グレートマザー)で、女性の成長の究極的な目標だとされていて、それは“母性”という言葉に集約されています。この母の偉大なイメージが難儀なのです。後者の子どもを束縛し、のみこんで破滅させてしまう恐ろしい力がクローズアップされていないのです。

思春期の課題に、自立や心理的離乳があるのですが、この時にグレートマザーと対決して、心の中で母親殺しをしなければならないと言われています。それはシンプルに母親の支配から逃れるためです。上下の関係性から、一対一の人間としての対等な関係性を再構築するスタート地点に立つというイメージでしょうか。いわゆる死と再生です。

そういえば、中2の息子がタイムラインで、ある投稿にいいねを押していたのを目にしました。その概要は、「母親に死ねと言ってしまった。中3のある夏の暑い日、俺が楽しみにとっておいたアイスクリームを母親が弟に食べさせてしまった。その時、母親に『死ね』と言ってしまった。それから何時間か経って母さんが轢かれた。アイスクリームを買いに行っていたと知った。母さん・・・ごめんよ。俺が最後に死ねと言ってしまったことをずっと後悔している」というものでした。

(お~っ!これが母親殺し~!)と発達心理学を専門としている私はワクワクしてしまいました。「や~ら~れ~た~」とチャンバラごっこで斬られたほうが、ニヤニヤしながらばったり倒れる感じ。この頃から、息子は1階のリビングから2階の自室で寝るようになりました。話しかけてもムス~っとしていて、(お~っ反抗期!心理的離乳!)とその成長をたくましく思ったりして。

実は、この思春期の頃に心の中で行う母親殺し。これができないとグレートマザーにずっとのみこまれ、破壊されてしまう可能性があります。それが冒頭の70才になっても母親に支配されている現状を生み出す一つの要因でもあるのだろうと思います。母親と子どもとの関係性を健全に保つのは結構難しいのかもしれませんね。

with k 4E