彼女の誕生日

彼女の誕生日

オンラインカウンセリングのカナムーンです。

私は2005年から犯罪被害者の方やそのご家族・ご遺族の支援を行っています。かれこれ15年ほど経つでしょうか。民間団体の支援センターの設立準備委員会の委員として依頼を受けたのがそのきっかけです。そこから、私の人生観や死生観はすっかり変わってしまいました。

15年の間に、いくつかの殺人事件でご遺族への支援も行いました。その中でも長期にわたる支援を行っているのは、2013 年8 月に当時15 歳の女子中学生が男子高校生に暴行され殺害されるという事件です。事件後3週間ほど経った頃から、私はカウンセリングに入りましたが、7年経過した今でもご遺族への支援を続けています。

そして、この8月22日が亡くなった女子中学生の22回目のお誕生日です。「お誕生日おめでとう!」私は彼女に直接会ったことがありませんが、いつも彼女は心の中にいますので旧知の仲という感じです。ですから毎年お誕生日にはバースデーカードとお花を送っています。

彼女は小さい頃から新体操をしていて、すらりとした体型の可愛らしい女性です。まわりの友だちを笑顔にするような明るく楽しいお茶目な性格です。パパが大好きで、将来はパパのお嫁さんになると言っていました。ネイルにも興味があったようで、生きていたらネイリストになっていたかもしれません。そんな想像を毎年8月22日にしています。

愛する人を亡くしたご遺族の支援をしていると、「亡くなってしまうと、郵便物が届かなくなるんです。それがさみしい。」とおっしゃる方もいます。生きていたという事実さえも消し去られてしまうようで、いたたまれない気持ちになるのだと思います。ですから、ご遺族同士で亡くなられた方のお誕生日に宛名を書いてバースデーカードを送り合ったりされています。

お誕生日はその人が生まれた大切な日です。この世に誕生し、その人が存在することの奇跡をお祝いする日でもあり、存在したことの証になる日でもあります。だからこそ、その日を心からお祝いしたいと思いますし、その日をその人と共に過ごしたいと思っています。

本来なら、犯罪被害者の支援者である私と出会わないでいられるというのが、一番幸せなことです。でも、出会ってしまった以上は、できる限りのことはして差し上げたいと思っています。本当に微力なのですが、何かの支えになれたらと思い活動を続けています。

47都道府県には支援センターがあります。万が一、みなさんが犯罪被害に遭われたら、お近くの支援センターにご相談くださいね。

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