被害者支援と加害者更生

被害者支援と加害者更生

オンラインカウンセリングのカナムーンです。

今日、令和3年度版の犯罪白書が家に届きました。みなさんはあまりご覧になる機会がない書籍だと思いますが、犯罪被害者支援をしている支援者としては必要な情報が掲載されているため必読書なのですね。

また、私は4月23日に開催される「生命のメッセージ展in京都先端科学大学」のシンポジウムでパネリストとして登壇することから、正確な情報を調べておく必要があるので、あと1週間の内に読んでおこうと思っています。

このシンポジウムのテーマは、「遺族と考える『償い』」です。具体的には、2012年4月23日に発生した亀岡交通事件のご遺族とともに、加害者の償いについて意見交換をするのです。とても難しいテーマだと思っていますので、事前の準備が必要です。

このテーマを考えるときに、被害者支援と犯罪者更生について事実を押さえておくことが大切です。そこで、この分野で最先端を行く北欧と日本の現状を比較してみたいと思います。

日本国内では2008年から犯罪被害者が刑事裁判に参加できるような制度がスタートしましたが、フィンランドでは被害者も事件の当事者であるという考え方にもとづき、フィンランドが建国された1917年以前から被害者が裁判に参加してきたといわれています。

最近、日本では「新あすの会」が設立され、「犯罪被害者庁」の必要性を訴えていましたが、ノルウェーやスウェーデンでは犯罪被害者の支援を専門に担う「犯罪被害者庁」がすでに大きな役割を果たしています。

また、日本では加害者から被害者への損害賠償はほとんど支払われていないという現実があるのですが、ノルウェーやスウェーデンの犯罪被害者庁では、犯罪被害者に対する国からの補償金額を決定したり、犯罪被害者の代わりに加害者に対して賠償金を請求してくれる仕組みが整っています。

北欧では、犯罪被害者は何か落ち度があるわけではなく、誰もが犯罪被害者になる可能性があるという考え方が浸透しているので、社会の中で苦しんでいる人たちを支える制度が確立しています。このような制度があれば、犯罪被害者が孤立せずに被害からの回復を目指すことができるのです。一方、日本では犯罪被害者支援自体が北欧に比べるとかなり遅れていると言わざるを得ない状況です。

さらに北欧では、支援されるのは犯罪被害者だけでなく、加害者への支援も進んでいます。刑務所でのプログラムや教育も充実していて、たとえば性犯罪受刑者に対して「STOP」と呼ばれる独自のプログラムを実施しています。フィンランド法務省では性犯罪の再犯率は約20%であると発表していますが、「STOP」修了者の再犯率は約3%ということです。また出所後も必ず保護観察を行い、もし経済的に苦しいようであれば福祉と連携してサポートする取組を行っています。

加害者の更生や償いを考える前に、まずは被害者の人たちへの支援が十分なのかどうかの検証が必要だと感じています。その上で、加害者の更生プログラムや出所後の居場所や再犯をしない仕組み作りを行いながら、加害者自らが犯した罪に向き合うベースを積み上げていく必要があるのではないかと思っています。

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