共時性

共時性

オンラインカウンセリングのカナムーンです。

先日、道端でばったり元同僚に出くわしたり、洋服屋で「あれ~、りっちゃん~!」とママ友に声をかけられたりと、偶然の再会が続いたことから、ユングの共時性(シンクロニシティ)を思い出しました。

共時性とは意味ある偶然の一致で、二つあるいはそれ以上の、同一あるいは同様の意味をもつ、因果関係のない出来事が同時に起きることを言います。たとえば、遠くにいる友人が死んだ夜にその友人の夢を見るとか、ある人のことを考えながらLINEのトーク画面を見ていたらその人から突然メッセージが入ってくるとか、出かけた先でばったり知り合いと遭遇するとか・・・。たんなる偶然として片づけられてきた出来事を、合理的で互いに関連のあるものとして研究したのがユングなのです。

ユングによれば、偶然的な一致は因果的には説明することはできないけれど、意味を持つ二つ以上の事実が、時間的に一致して生じるという特殊なケースは集合的無意識にある元型(アーキタイプ)に起因するとされています。元型というのは、私たちすべてに共通する心の構造で、そのすべてが合わさって古代からの人類の遺産を構成しているものです。そして普遍的無意識は、個人を超えた民族や集団、人類などの集合体が持つ無意識のことで、すべての人間はこの無意識の中でつながっているというのです。

そう私たちは無意識でつながっています。だから、共時性が起きるということは、その相手とまさにつながっているということなのかもしれませんね。

このあたりから、ユングのオカルティックな側面が表に出始め、フロイトと袂を分かつことになったようです。ですので、このブログもだんだん怪しくなっていくかもしれません(笑)。

集合的無意識を考える時に引き合いに出されるものに、アカシックレコードがあります。アカシックとはサンスクリット語でアカーシャと言い、何も妨げるものがなく全てのものの存在する場所、つまり虚空という意味なので、アカシックレコードは虚空の記録らしいのです。虚空と言えば、般若心経の空の思想を思い出します。

アカシックレコードは宇宙の図書館で、人間や地球だけでなく、他の惑星も含む全宇宙のありとあらゆる魂の契約、歴史、英知や教訓などが記されている記録層のようです。私たちには自由意志がありますが、生まれる前に結ばれた魂の契約によって運命づけられることもあるようですよ。そうなると、普遍的無意識はアカシックレコードと共通するものなのかもしれません。言い方は違えど、私たちの無意識には互いに共通する記憶や記録があるのかもしれませんね。

ユングはこの普遍的無意識の内容を示すときに、統合失調症患者の妄想を例として挙げています。その患者はユングに次のように語りました。「目を細めてじっと太陽を見つめていると、太陽に男根があるのが見え、この男根が風を起こすのだ」と。その数年後にユングはほとんど同じ幻想をギリシャ語の文献の中に見つけ、患者の妄想と神話的な内容に意味ある偶然の一致を見出すのですね。

そういえば、統合失調症の有病率は0.8%程度なのですが、これはどの民族や集団でも同じ有病率を示すとか・・・。地球上の場所や気候、経済状況などにも関係なく同じ有病率を示すのは何とも不思議な精神疾患なのです。この世には不思議なことがたくさんありますね。

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