算数の天才

算数の天才

オンラインカウンセリングのカナムーンです。

小さいお子さんを育てているお母さんから、発達のご相談をいただくことがあります。他のお子さんと比べて言葉が遅いとか、落ち着きがないなど、不安を感じながら子育てをしているお母さんは少なくありません。

子どもの発達は10人いれば10通りの発達の仕方があります。遺伝子に組み込まれているプログラム通りに発達していくことに違いはないのですが、そのスピードもその順番も全く同じお子さんはいないと言っても過言ではありません。また、バランスよくすべての発達が平均的に揃うわけではなく、発達のデコボコは存在します。

この発達のデコボコが、日常生活を送っていく上で生きづらさを感じ、WHOやアメリカ精神医学会が作成した診断マニュアルに該当する場合、さまざまな発達障害の診断が下されるという仕組みになっています。

「算数の天才なのに計算ができない男の子のはなし 算数障害を知ってますか?」という絵本があります。算数なら誰にも負けないと思っていたマックスは、計算問題をやるときに時間を競わされると、たちまち算数ができなくなってしまいます。でも、マックスは算数の天才で、小学3年生なのに代数の問題を解いていて、数学オリンピックのメンバーになったという物語です。じつは、著名な数学者の多くは計算が苦手だったのですね。

マックスは九九みたいな算数のルールを覚えるのは苦手なのですが、数の概念とか数同士がどのように関連し合うかなどはパッとわかるのです。だから小学3年生で高校の数学Ⅰの問題が解ける・・これぞまさしく発達のデコボコですね。

ここで、日本の特別支援教育を振り返ると、マックスのように計算でつまずいたら、ひたすら九九を言わせ、プリント問題をやらせる・・・というアプローチを行うことが多いような気がします。実は算数の天才なのかもしれないのに!

子どもの発達のデコボコを知り、その子の得意なところを伸ばしていく教育が、日本の特別支援教育にも必要なのだろうと思います。これを「2E(トゥーイー)教育」といいます。2Eとは、twice-exceptional(二重に特別な)という意味で、特定な能力・技能について苦手がある一方で、何か他の得意な能力を持つということで、二重に特別なのですね。

私の知り合いに世界的に活躍されている研究者がいます。その人は子どもの頃に、落ち着いてイスに座っていることができなかったので、自由に動き回っていたようです。その人が「あの時イスに縛りつけられていたら、今の私はなかったと思います」とおっしゃっていました。

私には特別な能力や技能はないように思います。なので、いわゆる凡人です。私のような凡人が、マックスのような天才をダメにしてしまうことのないように、発達のデコボコを持つこどもたちを多角的な視点で捉え、得意な能力を伸ばしていくお手伝いができるように力を尽くしていかなければならないな~と思っています。

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