海馬

海馬

オンラインカウンセリングのカナムーンです。

この写真は、神戸須磨シーワールドで見たタツノオトシゴです。今年2024年の干支は辰年ですから、縁起のいい魚ですね。直立して泳ぐ姿が印象的で、その独特な見た目から竜にちなんだ名前がつけられました。タツノオトシゴは英語ではシーホース、中国語では海馬といいます。

このタツノオトシゴの最も特徴的な生態は、オスが出産することです。自ら出産してみたいと思っていらっしゃる男性には、とてもうらやましいことと思います。メスは繁殖期間に入ると、オスの育児嚢(いくじのう)に卵を産みつけます。その様子がハート型に見える形から、愛のシンボルといわれることもあるそうです。

私は心理の専門家ですので、タツノオトシゴを見ると脳の海馬を思い出します。脳の海馬はタツノオトシゴが命名の起源ではなく、ギリシャ神話に登場する海神ポセイドンがまたがる海馬の前肢の形に似ていることからつけられた名前だということですが、いずれにしても海馬を思い出すのです。

脳の海馬というのは、記憶をつかさどり、記憶の司令塔といわれています。特に短期記憶に関係があり、新しい記憶はまず海馬に保存されます。そして記憶を使わなくなり、忘れてもよいと海馬が認識すると、人は忘れていくのです。一方、海馬が忘れてはならないと認識すると、それは大脳皮質に移動して、長期記憶として保存されていくのです。

最新の脳科学では、記憶を貯蔵している場所は脳の中にはないとされています。記憶は流れているのです。その流れの司令塔の役割を担っているのが、おそらく海馬なのでしょう。海馬に電気ショックを与えると、フラッシュバックを起こすという実験結果があります。海馬を刺激すると、忘れてはいけない記憶が流れてくるのだろうと思います。

フラッシュバックは、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の4つの症状の一つです。事件のときの音や声が聞こえたり、情景が見えたり、においがしたりと、現実から離れて事件に戻ったように生々しく再現されることをフラッシュバックというのですが、危険から身を守るために、海馬が記憶を思い出させているのだと思います。

でも、このフラッシュバックによって、何度も記憶に傷つけられることになり、被害からの回復が困難になるのですね。ですから、記憶のコントロールをすることがPTSD治療の中核になり、心理の専門家としてはこの海馬をいかにコントロールするか、もっといえば海馬につながっている不安を感じる扁桃体をいかになだめるかが主な関心事となるのです。私がタツノオトシゴを見て海馬を思い出す理由が、おわかりいただけましたでしょうか?笑

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