デブリーフィング

デブリーフィング

オンラインカウンセリングのカナムーンです。

「最新のサイコロジカルファーストエイドではデブリーフィングが禁じられている」という授業を聞いて、その内容にショックを受けたと教えてくれた人がいました。心理的デブリーフィングをすることで、かえってPTSDが悪化するというのです。

デブリーフィングというのは、グループでの話し合いで、危機介入や教育的方法を用いて、緊急事態(心的外傷を伴う体験)に関連する心理的苦悩を和らげたり、解決することと定義されています。その対象となる人は、緊急事態で直接影響を受けた人、緊急事態を目撃またはそれに対処した人、緊急事態を間接的に知った人などです。

以前勤務していた大学で、十数年前に学生同士の傷害事件がありました。その時に、私はその傷害事件を目撃した学生を対象に、デブリーフィングをしたことがありました。事件後10日目に目撃した学生を集めて、7段階の介入を行いました。

1.導入:自己紹介をして、この話し合いの目的と実施方法を説明します。
2.事実:緊急事態に関する事実を述べます。実際に何が起きたかを理解します。
3.思考:最初に浮かんだ考えや、最も強かった考えは何かということを話します。
4.反応:感情的な側面を聞いていきます。話したい者が自由に話します。
5.症状:ストレス関連の症状を聞いていきます。
6.教育:ストレスを克服する方法や再適応に必要な手順などの心理教育を行います。
7.再入:出来事を整理し、質問に答え、これまでの過程をまとめ、参加者を通常の機能へと戻す働きかけをします。

その後には、数回の一対一のフォローアップを行い、目撃した学生たちが落ち着いていったという経験をしました。

しかし、急性期にトラウマ的体験を話すように促し、トラウマ対処の心理教育を行うことは、かえって有害な刺激を与え、自然の回復過程を阻害する場合があるということです。ということは、目撃した学生たちに対して有害な刺激を与えてしまったのかもしれないので、大変申し訳ないことをしたのかもしれないな~と振り返っているところです。

確かにエクスポージャー(曝露)を促す手法にはリスクを伴うことが多いので、サイコロジカルファーストエイドという心理的応急処置と呼ばれる危機介入では、その時限りの対応になりフォローアップが期待できない場合があります。このような条件下で、トラウマ的体験を話してもらうことが逆効果になることは想像に難くありません。

一方で、フォローアップができる環境下においては、一定のデブリーフィングの効果は期待できるのではないかと思うところもあります。事実、欧米では消防士、警察官、軍人などに対して頻繁にデブリーフィングが行われているとも聞いています。

「デブリーフィングが禁じられている」という言葉をそのまま鵜呑みにせず、何故そのように言われているのかを自ら調べてみる必要があるのではないかと思います。

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