サバイバーズギルト

サバイバーズギルト

オンラインカウンセリングのカナムーンです。

学校内で殺人事件が起きました。安全が守られるべき学校内での生徒同士の事件です。亡くなられた被害者の方のご冥福を心からお祈りいたします。

報道では、この事件の加害者は「被害者から嫌がらせを受けていた」と話しているようですが、それが事実かどうかはわかりません。でも、この報道から世間の人たちは「被害者にも落ち度があったから殺されたのだな~」と判断してしまいます。そして、その真偽が確認されることや、訂正されることなくこの事件は忘れ去られていく可能性があります。

また、彼らの同級生たちは、その事件を目の当たりにして、「どうして事件を防げなかったのだろう」「何か自分にできることはなかったのだろうか」「自分が生き残って申し訳ない」などのさまざまな感情を抱きます。そんな同級生たちに早期に適切に支援が入っているのかどうかがとても気になります。これが三重県の事件であれば、おそらく私は支援に入っていたと思われるからです。

被害者と交流のあった友人たちは、自分が生き残ったことへの罪悪感、つまりサバイバーズギルトを感じることがあります。事件の質は異なりますが、学校内で起きた事件に大阪大学付属池田小学校事件がありました。事件当時、小学校6年生として在籍していた児童が大学生になって、共に「生命(イノチ)のメッセージ展inみえ」を開催するときに、事件で亡くなった8人の子どもたちをメッセンジャーとして呼びたいと相談してきたことがありました。

その若者は、生き残ってしまった自分が、ご遺族にそのような提案をしてもよいものか、ずっと悩んでいたそうです。事件のあった日が近づくと悪夢を見て苦しみ、サバイバーズギルトを感じながらも、やっと他者に自分の経験を語れるようになっていました。そして、事件が風化していくことに耐えられなくなり、辛い過去と対面しながらも自らの心の傷を語り始めた若者を前にし、共にご遺族のところに出向くことを決めたことを思い出しました。

今回の事件でも、何もできなかった自分、生き残ってしまった自分を責めながら生きていくこどもたちが少なからずいるだろうと想像しています。支援者は早期に適切にこどもたちへの支援に入ってほしいと願っています。また、当然ながら被害者のご遺族への支援もお願いしたいと思います。

奇しくも愛知県では今まさに犯罪被害者等支援条例(案)の検討を行っているところです。条例がなくてもできることはたくさんあります。被害者のご遺族の一日でも早い被害からの回復のために、できる限りの支援が届けられるようにお祈りしています。

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