被害者条例を

被害者条例を

オンラインカウンセリングのカナムーンです。

写真のブックレットは、被害者が創る条例研究会が作成した「すべてのまちに被害者条例を[第4版]」です。監修は、日本の刑事学者で常磐大学前理事長、世界被害者学会理事の諸澤英道先生です。ご専門は被害者学、犯罪学、刑事学、刑事政策学、少年法制で、日本における被害者学の中心的な役割を果たされている方です。

私が諸澤先生に初めてお会いしたのは2014年3月でした。当時私は三重県臨床心理士会の被害者支援担当理事で、研修会を開催するのに大阪在住のご遺族にお願いして諸澤先生をご紹介いただいたのがきっかけでした。そこから何かあるたびに諸澤先生にご連絡をして、被害者支援について教えていただいています。まあ、なんと贅沢なこと!

被害者が創る条例研究会は、地方自治体における被害者支援の充実と条例制定を目指して2014年2月に発足しました。「市町村における犯罪被害者等基本条例案」や「すべてのまちに被害者条例を」の発行や、シンポジウムやワークショックの開催などが主な活動ですが、三重県では条例研究会のみなさんにご協力いただいて2016年11月にシンポジウムを開催しています。朝日町事件のご遺族はこのシンポジウムに参加されて、条例制定の活動への第一歩を踏み出されることになりました。

そして、私はこのブックレットに第2版から寄稿させていただいていますが、今回の第4版では本文の「解説~被害者条例を制定してもらうために」の章で、「三重県における殺人遺族と専門家の二人三脚」で私の名前が出てしまっています。お恥ずかしい限りです。恥ずかしさついでに、少し中身をご紹介します。

「三重では一人の被害者と支援者の出会いが条例をつくる大きな力となりました。2013年8月に三重県朝日町で当時15歳の女子中学生が男子高校生に暴行され殺されるという事件が起きましたが、事件の直後から被害者家族への支援に当たった仲律子先生の役割が大きかったようです。仲先生は臨床心理士であり、当時、みえ犯罪被害者総合支援センターの理事であり、鈴鹿大学教授でした。」顔から火が出そうな勢いです(笑)。

このブックレットには、どうすれば被害者条例を制定することができるのか、自治体の被害者窓口に期待される支援とは何か、現在の被害者支援の制定状況とその中身はどうかなど、被害者条例についてのさまざまな情報が掲載されています。詳しくは、http://被害者が創る条例研究会.comをご覧ください。

振り返ってみると、2013年に朝日町事件が起きて、2014年2月に条例研究会が発足し、その翌月に私が諸澤先生と出会い、2016年のシンポジウムで朝日町事件のご遺族が条例制定の気づきを得られました。そして、2018年にご遺族が三重県知事に条例制定のお願いの手紙を出され、2019年4月に三重県条例が施行され、2020年11月にブックレット[第4版]発行、同年12月にご遺族と私の29市町の首長行脚が一巡したという事件後の流れは、すべてがそうなるようにできていたのではないかと不思議に感じるような流れなのです。

なんだか人生って、すべてがそうなるようにできているのかもしれませんね。いつ、どこで、だれが、どのように出会い、何に気づき、何を成し遂げていくのか、そして、最後にだれとどのように過ごすのかということも、もしかしたらもう決まっていることなのかもしれないな~と思っています。もしすべてがそうなるようにできているのなら、大きな流れに身を任せて、今を満喫することが大切なのかもしれないな~、そうすれば、きっと流れ着くべきところに、流れ着くのかもしれませんね~。

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